10月17日、映画やドラマでの人情味あふれる演技で人気の俳優、西田敏行さんが虚血性心疾患で亡くなりました。76歳でした。
翌18日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、パーソナリティの北野誠が、『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)で共演していた西田さんとのエピソードを振り返りました。
北野と松村邦洋にとっては今も「局長」
番組冒頭、西田さんの訃報に触れつつ「番組で泣いたりするのを喜ぶ人ではないので」と、言葉を選びながら語り出す北野。
西田さんの悲報は17日、この『北野誠のズバリ』の生放送直前のことで、少なからず動揺したという北野。
放送中の休憩時間、松村邦洋からLINEのメッセージを受けた北野。
その文面は「局長がなくなりましたね」というシンプルなものでしたが、そのメッセージに感極まってしまったそう。
『探偵!ナイトスクープ』で西田さんが2代目局長を務めた当時、北野と松村はともに探偵を務めていた同僚。2人にとって西田さんは、今なお「局長」です。
全国的には『釣りバカ日誌』の"ハマちゃん"として知られていた西田さんですが、ある時北野に「やっと大阪になじんだよ!」と話しかけてきたそうです。
新大阪駅でいきなりファンから「局長!」と声を掛けられ、大阪の人たちに親しまれるようになったことを喜んでいたようです。
あの大阪弁は誠さんの大阪弁
北野は松村へ「急なことでびっくりしたわ」と返信すると、松村から返ってきたのは「『アウトレイジ』の大阪弁は誠さんが教えたんですよね?」。
その言葉に「もう泣きそうになった」と北野。
さらに「あの大阪弁は誠さんの大阪弁ですよ」と畳みかけてきたという松村。
北野「西田さんとの思い出はめちゃめちゃあるので、飲みにも連れて行ってもらったし、うちの息子は西田さんと一緒にゴルフしてるし、家族ぐるみで付き合いしてもらっていた。本当に優しい人だった」
その日の深夜、改めて松村と電話で故人をしのびながら思い出したエピソードを披露する北野。
北野が西田さんの大阪弁を特訓
2012年、西田さんは北野武監督の映画『アウトレイジ ビヨンド』に出演しました。その撮影前のこと。
西田さんは楽屋に台本を持ってきて北野に「大阪弁よくわかんねえから、誠ちゃん、飯食いに行って俺にちょっと教えてくれよ」と依頼したそうです。
改めて西田さんの行きつけの日本料理店でレクチャーを仰せつかった北野。
「ナニ抜かしとんじゃ、ワレ!」などのニュアンスを特訓したそうです。
北野「西田さんは普通の大阪弁ならわかるけど、迫力のある、舌を巻いていく大阪弁で(北野)武さんを罵倒するのを、『こんな感じかな?』と二人でやったわ」
このやりとりに、個室に料理を運んでくる仲居さんがとても怖がったそうです。
北野「『何をぉ?うちの組長が忙しいのに』というのを聞いたら、俺が西田さんに大阪弁で怒っているみたいに聞こえる(笑)」
迷惑もハローワークもあるかい!
『アウトレイジ ビヨンド』に関しては、松村にもエピソードがあったそうです。
当時西田さんに呼び出された松村、「たけし(の役を)やれ」と言われました。
若頭役の西田さんは北野から学んだ大阪弁でまくしたて、それに対して松村が北野武さんの真似で「なんだ馬鹿野郎!」と返して練習したとか。
こうした練習によって生まれた西田さんの好演ですが、台本に目を通していた北野は作品を観てあることに気づきました。
北野「西田さんは、本当によくアドリブを飛ばしていたと思った。あんなん台本になかったで?
『迷惑もハローワークもあるかい!』あれ絶対なかったです!あの有名なセリフ(笑)」
持つべきものは友だち
松村との深夜の電話は3、40分続いたそうです。
北野「松村はずっと西田さんのモノマネをやる(笑)。いつの西田敏行かわからんくらい、家康や豊臣秀吉や大河の西田さんを全部やってました。
走馬灯のように西田さんを思い出しました。『ホンマにええ人やった』と二人でしみじみしました」
そしてこう続けました。
北野「西田さんを悪く言う人はこの世にいないと思います。たかじんさんや上岡(龍太郎)さんを嫌いという人があっても、西田さんについては悪口を言う人はない。そういう人です!」
悲報に落ち込んだ北野でしたが、松村との電話で気持ちが救われ「持つべきものは友だち」と強く感じたそうです。
(みず)
北野誠のズバリ
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2024年10月18日13時00分~抜粋