北野誠のズバリ

売り値に相場はあるの?事業承継について答えます。

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。

5月15日の放送では、「会社を売る時の値段の決め方」について北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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飲食店の相場は一緒?

今回藤原さんが紹介したのは、飲食店を例にした「会社を売る時の値段の決め方」について。

北野「売り値、これは相場みたいなのがあるのですか?」

藤原「不動産のような相場はありません」

中小企業のような未上場企業の場合は、相場がないのが実情だとのこと。ですが藤原さんは、飲食店のオーナーなどから「知り合いが5,000万円でお店を売ったから、自分のお店も5,000万円で売れるだろう」という相談を受けることがあるそうです。

北野「同じ飲食店でも金額が変わることはある?」

藤原「あります。不動産みたいに立地で見るのではなく、飲食店の財務状況で見ます」

店舗ごとの財務状況で売値を判断するので、必ずしも他の店と同じ評価はつかず、それが2,000万円になる可能性もあるそうです。

売り値が激変「修正純資産法」

具体的にどのようなところを見て売り値を判断するのでしょうか?

藤原「ひとつに修正純資産法」

売値を判断する方法として「修正純資産法」と呼ばれる、「純資産」を修正して価値を求める方法が一番イメージしやすくわかりやすいと藤原さん。

「純資産」とはなんでしょうか?藤原さんは個人に置きかえて解説します。

藤原「不動産や車や貴金属などの個人で持っている全ての資産から、銀行から借りている住宅ローンなどの借金を差し引いて手元に残る資産を『純資産』という」

北野「つまり会社で言うと、全ての資産から借金などの負債を引いた額ですね?」

藤原「はい、その会社に残る資産を売り値のベースとして見るのが今回のやり方」

例えば前述の飲食店だと、知り合いも相談者もすべての資産の額を同じにして、5,000万円とします。

知り合いは、すべての資産が5,000万円で負債が0円だったので、売り値はそのまま5,000万円です。
一方、すべての資産が5,000万円でも、負債が3,000万円あれば売り値は差額の2,000万円となります。
同じ飲食店でも状況次第で売り値が変わってしまうのです。

廃業とM&Aの大きな違い

通常M&Aで事業継承すると手元にお金が残るケースが多いものですが、北野にはひとつの疑問が浮かびます。

北野「廃業する場合とM&Aをする場合と、手元に残るお金は変わらないのでは?」

この疑問に、廃業とM&Aの違いを解説しはじめる藤原さん。

廃業する場合は、清算するので「清算価値」、わかりやすく言うと「処分価値」となり、評価額も低くなりがちです。
例えば「閉店90%OFFセール」で在庫処分している場をイメージするとわかりやすくなります。

北野「投げ売り状態。在庫処分ですもんね」

90%オフなので、1,000円のものが100円になります。しかしM&Aの場合は、在庫をそのままの価値、つまり1,000円のものは1,000円のままで評価されるため、手元に残る金額が増えるのです。

北野「そこのあるテーブルや椅子が使えて、次の事業者がそのまま使うなら価値は変わらないけど、売りに出したら1個100円とかになっちゃうから全然違う」

そんな状態になるなら「廃業される前に一度査定してみた方がいい」と強く勧める北野。

藤原さんも、会社の価値を無料で簡易的に査定もしていますので、査定だけでも相談してみてもいいかもしれないと促しました。
(野村)
 
北野誠のズバリ
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2024年05月15日14時50分~抜粋

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