北野誠のズバリ

少子化対策に逆行?「育休退園」制度が抱える問題点

子育て支援策や少子化対策の必要性が高まっている中で、その対策とは真逆の「育休退園」という古びた制度が、現在も残っていることが問題となっています。

「育休退園」とは、下の子が生まれて親が育児休業を取得すると、保育施設に通う上の子が退園させられるというもの。
そのため母親が育休取得をあきらめて産後2か月で職場に復帰した例や、妊活を遅らせた家庭もあるそうです。

2月10日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリサタデー』では、この問題を取材している毎日新聞中部報道センターの町田結子記者に話を聞きました。

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家にお母さんがいるんだから

育休退園制度とは、2人目以降のこどもが生まれた保護者が育児休業を取得すると、家庭での保育が可能と判断されるために、上の子が退園になる制度。

国としては「育休中も保育園は継続利用できる」と明確化していますが、退園させるかどうかの最終的な判断は各自治体の判断に任されています。
放送エリアの名古屋市での運用はありませんが、いまだに多くの自治体がこの制度を運用しているそうです。

では、なぜ国の方針とは異なる制度をいまだに運用しているのでしょうか?

町田記者「退園の対象の子は基本的に3歳未満で、3歳以上と比べると待機児童がとても多い年次なんですね。

それで多くの自治体は待機児童がいるからとか、その時点で待機児童がいなくても、待機児童が出る可能性があるから、と説明しています。

中には待機児童とは関係なく、『家にお母さんがいるんだから、保育の必要性がないでしょう』と説明する自治体もあります」

退園させられ新たな問題が

上の子が途中で退園した場合、具体的にどのような問題が発生しているのでしょうか?

町田記者が取材した中では、3つのパターンが見えてきたそうです。

ひとつ目は実際に退園になった家庭で、こどもに変化が表れたとのこと。

突然の退園で環境に変化が生じ、例えばオムツを卒業したのにパンツの中に毎回漏らしてしまったり、できていたことができなくなってしまったそうで、こどもの発達に悪影響を与えることがあります。

2つ目は生まれたばかりの赤ちゃんの世話に、上の子の世話がよりかかるため、育児負担が増大してしまうという問題です。

育休取得を断念するケースも

そして3つ目は、育休取得を断念するケースがあるということ。

実例として、上の子が退園させられないようにするために育休を取得せず、産後2か月で職場に復帰したケースもあるそうです。

また、上の子がある程度大きくなるまで妊活を遅らせるだけではなく、2人目をあきらめるケースもあリ、少子化対策と逆行する状況と作る要因となっています。

町田記者自身、子育てで同じような経験をしたことから、「育休退園」を取材するようになったとのこと。

現在はこの制度を見直す自治体も増えてきており、その理由には「待機児童の解消」の他、「こどもの発達に与える影響を考慮」「職場へのスムーズな復帰など、保護者の負担に配慮」「少子化対策の一環」などが挙げられています。

一方で「育休退園」制度を辞めるためには、保育士不足などの問題を解消する必要があり、根本的な解決が求められます。
(岡本)
 
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2024年02月10日09時43分~抜粋

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