北野誠のズバリ

あなたの郵便貯金が消える?返ってこないお金に対し救済策

朝日新聞の記事によれば、一定期間が過ぎて貯金者の権利が消えた郵便貯金が急増している問題に対して、郵政管理支援機構が20日、来年から適用する返金、払い戻し対応の新基準を公表しました。

2007年(平成19年)に実施された郵政民営化前に預けた定額貯金などは、旧郵便貯金法により貯金者の権利が消えるため、2021年度は457億円が消滅。

総務省が預金者に寄り添う観点で見直しを求めていましたが、今までどのような問題があったのでしょうか。

12月23日放送『北野誠のズバリサタデー』では、消える郵便貯金の問題について、中京大学経済学部客員教授でエコノミストの内田俊宏さんが解説しました。

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貯金が消えてしまうケース

そもそも預けていたお金がなくなるのは、どのようなケースなのでしょうか?

内田「郵政民営化前に預けられた定期貯金や定額貯金に関してなんですが、満期の後、約20年が経過すると、原則として預けた人の権利が消滅してしまう。
通常の貯金や民営化後に預けられた定期貯金などは(権利が)消えないです」

また、約20年経つといきなり権利が消滅するわけではなく、消滅する2か月前に、郵便貯金を管理している独立行政法人から催告書という案内が届くようになっています。

ただ、転居などの理由で8割ぐらいの人から返送されてしまうのだそうです。

ちなみに民間の銀行では、10年以上取引がない場合はいったん国庫に入ってしまいますが、後からでも引き出しは可能とのことです。

消滅してもあきらめるのは早い

では、なぜ権利が消滅するようなルールを作っているのでしょうか?

内田先生「郵便貯金の消滅制度は1994年(平成6年)の法改正で導入されたんですが、郵政民営化の後、2011年(平成23年)に『真にやむを得ない場合に限って返金する』という運用が開始されまして。

『真にやむを得ない場合に限って』って、非常に抽象的ですが…。

結局、運用次第によって、担当部署の判断によって変わってしまいますし、貯金者の情報を紙で管理していた時代は事務を効率化するという意味もあったんですけど、近年はデータで管理してますから。

ゆうちょ銀行でも過去のデータをサーバーなどに保存してますから、何のために貯金を消す必要があるのかという説明が難しくなってるという状況ですね」

真にやむを得ない理由とは、例えば自然災害や事故、海外に滞在していて期限が切れた場合、親族の看護などでなかなか引き出せない場合などが挙げられるとのことです。

ただ、それを証明する書類などが必要だったため、消滅後に引き出すのは難しかったようです。

引き出す場合の注意点

さらにこの制度があまり知られておらず、消滅の通知も届かないとなると、今まで消滅したケースは結構多かったのではないでしょうか?

内田先生「実際貯金をする時に郵便局が事細かく説明していたかというと、そうでもない時代もありましたので、そういう意味では基準を緩めましょうと。

新しい基準では、やむを得ない事情を証明する書類がなくても受け付けるように変えましたし、名義人がお子さんやお孫さんでも作れましたので、そういった場合では貯金の一部を返金するという、柔軟な運用に変えたということですね」

以前よりは返って来やすくなったということですが、20年経っても引き出さなかった理由について、「預金が消滅する制度を知らなかった」と正直に書くと、よろしくないようです。

内田先生「実は今回、申請書の注意書きに『制度を知りませんでしたという理由だけでは返金対象としない』と明記されていますので」

あくまでもやむを得ない事情があることが前提ですので、なぜ引き出さなかったのかは明確に考えておく必要があるようです。
(岡本)
 
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2023年12月23日09時22分~抜粋

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