北野誠のズバリ

年金改革「第3号被保険者」「年収の壁」見直し…私たちへの影響は?

サラリーマンにとっては恒例となった「年末調整」の時期です。ここで悩ましい問題となっているのが「年収の壁」問題です。

政府は対策として、「年収106万円の壁」を超えた労働者の手取り収入が減少しないよう、新たな手当を創設することや、年収が130万円を超えても連続2年までは配偶者の扶養に留まれるようにすることなどを検討しています。

また、配偶者で保険料を支払う必要のない「第3号被保険者」の待遇見直しについて、2025年の年金制度改革で議論に意欲を示しているということです。

11月18日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリサタデー』では、年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾さんが、もし年金制度が変わったら私たちにどのような影響があるのかについて解説しました。

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第3号の制度を辞めると…

第3号被保険者とは、わかりやすく言えば、サラリーマンや公務員の配偶者で扶養に入っている専業主婦、主夫や一定の年収以下のパート・アルバイトなどです。

毎月の保険料は支払わなくても、後に年金を受け取ることはできますが、国はこの制度をどうしたいのでしょうか?

北村さん「たぶん減らしたいんだと思います。ぶっちゃけ辞めたいと思ってるんでしょうけど、いきなり辞めると暴動が起きちゃうので、何らかの理屈をつけて徐々に切り崩す形だと思うんですね」

第3号被保険者の制度がなくなると、パートやアルバイトで働いている人にとっても、負担が増えることになります。

北村さん「今回年収の壁ということで、週20時間以上で106万円以上の収入がある人は、3号から外れてご自身で厚生年金と健康保険に加入という形になるんですね。

そうすると、年収の約15%が社会保険料としてかかってきますので、手取りが減っちゃうわけですよ。月10万円で働いている人は、8万5千円ほどになっちゃうんですよね」

もう働きたくなくなる

「年収の壁」があるためにパートの人が労働時間を抑えることにより、労働力不足につながっている、という意見があります。
しかし「年収の壁」を撤廃すると、より労働力不足につながる懸念があります。

北村さん「労働力不足が目に見えているので主婦の人にも働いて欲しいんですけど、社会保険に加入する基準を下げてまで働くかというと、やっぱり今の暮らしが大事なので、抵抗感があると思いますよ」

国は「年収の壁」をどう撤廃しようとしているのでしょうか?

北村さん「もともと130万円の基準を106万円にして、次に考えているのが月収5万8千円以上稼ぐ人は厚生年金と健康保険の適用、いわゆる『70万円』の壁を考えてるんです。

結局壁は残るんですけど、壁の基準を低くして、多くの人が保険料を払うという形にしていきたいということですよね」

年金財政が非常に厳しいと見る北村さん。

北村さん「あと医療財政ですね。少子化がなかなか改善されず、2025年問題で団塊の世代が75歳到達、介護が必要になる、当然病気がちになる、医療保険も非常にひっ迫してくる。年金をもらう人も増えてくる…」

単に若い人の負担が増えていけば、少子化の解決にもならない状況が続きます。

北村さんは年金制度について「抜本的に見直しが必要」と語り、「今の世代間扶養ではなく、積み立て式でなければならないのではないか」とまとめました。
(岡本)
 
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2023年11月18日09時41分~抜粋

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