北野誠のズバリ

手に入りにくい医薬品は4,000種類以上…ここまで不足する深刻な背景

現在、医薬品の供給不足が深刻化しているといわれます。

その原因はジェネリック医薬品(後発医薬品)のメーカーで製造上の不正が2021年に発覚したこと、さらに新型コロナやインフルエンザの流行で需要が増えたことも一因です。

先月、武見厚労大臣は、不足する薬の増産要請に応じたメーカーへの支援対策を表明しましたが、医薬品不足は解消されるのでしょうか?

11月11日放送『北野誠のズバリサタデー』では、神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科教授の坂巻弘之先生に、ジェネリック医薬品の課題について解説いただきました。

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医薬品不足の原因となった事件

製薬会社の調査によりますと、約18,000種類ほどある日本の薬の中で、4,000種類が手に入りにくい状況になっているとのことです。

医薬品不足が続くきっかけとなったのが、2020年の初めに小林化工が水虫薬に睡眠薬を誤って混入させたことにより、2名の方が亡くなった事件。

この事件をきっかけに、あらためてジェネリック医薬品のメーカーを中心に自己点検を実施したところ、かなりの薬が正しく作られていないということが判明。
中には行政処分を受けたメーカーもあって、一部の薬が現在も製造されていない状況とのことです。

それなら他のメーカーが薬を増産すれば解決すると思いきや、それも現実には難しいようです。

坂巻先生「ひとつの工場でいろんな物を作っていますと、緻密な計画の下で製造している。
何かひとつの薬が足りなくなった、それを増産してくれといっても、工場全体の製造計画を結構変えなきゃいけない。

フレキシビリティ(柔軟性)がないということが背景にあって、すぐに増産ができないということになります」

医薬品不足が解消されない理由

ジェネリック医薬品のメリットは、新薬と同じ有効成分でも特許が切れた薬を使用することで費用が抑えられ、薬価(国が定めた薬の価格)も下がることで患者の金銭負担が減るといわれてきました。

しかし、坂巻先生はこのメリットこそが、逆にメーカーにとってマイナスに働いているといいます。

坂巻先生「薬価が安いということは、企業側としても安く作らなきゃいけないんですけど、値段が安くなりすぎちゃったということもあるんですね。

作っても赤字になるので増産したがらない、しにくいということも背景にあるといえます」

医薬品不足は改善されるのか

医薬品不足が深刻になってきている状況ですが、国はどのような対策を考えているのでしょうか?

坂巻先生「いま医療現場で一番足りなくて困っているのが、感染症関係の薬なんですよね。
咳を止める薬とか、痰を切る薬。これらに関してはとにかくいま一番困っている状況ですので、厚労大臣が増産の指示を出しました。

ただ、先程のお話のとおり、ただ増産しろというだけでは企業もやれませんから、支援金を出すとか、値段を引き上げることも検討するなど、あわせて取り組んでいます」

坂巻先生は「実際の増産効果は年明けになると思われる」と語った一方で、ジェネリック医薬品メーカーの不祥事の改善には1、2年以上かかるかもしれないそうで、不足する状況はまだまだしばらく続きそうです。
(岡本)
 
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2023年11月11日09時41分~抜粋

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