北野誠のズバリ

転職したら年金はどうなる?放置し続けると大変なことに

一般的に会社に勤めていると年金が積み立てられていくものですが、年金の仕組みをきちんと理解しておかないと、実際にもらう時に困ってしまう可能性があります。

10月16日の放送では、転職によって確定拠出年金の扱いはどうなるのかという疑問に対し、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー・徳山誠也さんが回答しました。

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確定拠出年金とは

今回番組で紹介した相談は、次のとおりです。

「息子は2度ほど転職しています。1つ目の会社と2つ目の会社は確定拠出年金で、会社が移動手続きをしてくれました。

しかし、今度の会社は確定拠出年金を採用していないため、自分で手続きをするということでした。
ところが息子はバタバタしていて、いまだに手続きをしていません。放置しておいて大丈夫なのでしょうか?」(Aさん)

年金手続きをせず放置すると、後に年金が減額されたり支給されなかったりするとなれば、気になるところです。

そもそも「確定拠出年金」とは何でしょうか?

徳山さん「確定拠出年金は企業年金制度の1つ、大きくいうと退職金の1つで、会社が従業員のために掛金を拠出して、従業員はその資金で金融商品を選択して運用していくっていうもの。

基本的には60歳以降に年金または一時金の形で受け取りますけど、運用の成果によって受け取り額が違ってくるというものですね」

放置された年金の行方

では途中で退職した場合、「確定拠出年金」の扱いはどうなるのでしょうか。

徳山さん「60歳未満で退職した場合は、退職から6か月以内に手続きをする必要があります。

結構短いんですが、具体的には資金を他の年金制度、つまり次の会社の企業型確定拠出年金だったり、iDeCo(個人型確定拠出年金)などに移していくことになります。

6か月を過ぎると、資金は国民年金基金連合会というところに自動移管されます。
これが『放置年金』と呼ばれてデメリットが多いので、あまりお勧めできないという状況ですね」

そのデメリットとは、移管された後は積み立てられず運用できなくなるため、利息のつかない現金のような状態になる上に、月数十円程度ではあるものの管理手数料が取られてしまうというものです。

後で返ってはくるものの、受け取る時期が遅くなったり、税金面でも不利だったりするため、放置年金は良くないようです。

企業が年金を運用していなかったら?

Aさんの息子さんのように、転職先で企業型確定拠出年金に対応していない場合は、まずは個人型のiDeCoに移すと良いそうです。

徳山さんによれば、iDeCoに加入する方法は2つあるそうです。

1つはiDeCoの通常の加入者になることで、もう1つはiDeCoの「運用指図者」になることだそうです。

通常の加入者の場合は、移した資産に加えて、毎月自分で決めた額を積み立てていくことになります。

もう一方の「運用指図者」の場合は、資産を移して自分が決めた金融商品で運用していきますが、毎月の積み立てはしないというもので、あとから積み立てを再開することはできます。

そのため、徳山さんは「転職後忙しくて積み立てはできないという場合でも、まず移しておくことをお勧めしますね」とアドバイスしました。

iDeCoを始める際の注意点

放置年金になるよりは、とにかくiDeCoに移した方が良いとのことですが、iDeCoに加入する際、注意することはあるのでしょうか?

徳山さん「ひと口にiDeCoといっても、どの金融機関で口座を開くかで、例えば選べる金融商品とか口座管理手数料なんかも違ってきます。

金融商品はだいたい似たり寄ったりですが、口座管理手数料は意外とバラツキがありまして、毎月引かれるものなので、差額が数百円であったとしても積み重なると何万円という計算になります。

その分元本が少ないという計算になりますと運用にも関わってくるので、管理手数料(の影響)は大きいんですよね。

もうひとつは、iDeCoはひとつの金融機関でしか口座が開設できないので、最初にしっかりと選ばないとずっと影響することになりますね」

なお、毎月の掛け金は勤務形態(自営業、公務員、会社員など)によって上限が設けられていますが、2024年12月からは一部の方に対して上限額が変わるそうです。

金融商品はいろいろあって迷うところですが、中には元本割れのリスクがあるため、最後に徳山さんは「あくまでも自己責任で選ぶこと」を念押ししました。
(岡本)
 
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2023年10月16日14時12分~抜粋

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