北野誠のズバリ

相続税節税のための贈与…来年から制度が大きく変わる

CBCラジオ『北野誠のズバリサタデー』の「ズバリこの人に聞きたい」コーナーでは、毎週、話題の本の著者にインタビューをしています。

10月14日の放送では、『残念な相続 <令和新版>』(日経プレミアシリーズ)の著者で、税理士法人アーク&パートナーズ代表の税理士、内藤克先生が登場。

内藤先生は30年近い実績を持つベテラン税理士で、数多くの相続に立ち会ってきた経験を元に、著書では相続人の立場に代わって、相続に関する疑問に答えています。

最近、特に相続に関する法律改正があったということで、相続に関する最新情報を伺いました。

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来年に大きな税制改正

よく相続税を軽減するために、生前に少しずつ贈与しておこうという方法を取ることがあります。
これまでは亡くなる前の3年間は、生前に贈与していたものは相続税の対象としてカウントされていたのですが、来年からこれが7年に延長されます。

注意しないといけないのは、もらった側がきちんと記録しておかなければならないということです。

もうひとつ贈与と相続に関する法律で変わるのが、相続時精算課税制度というもの。

この制度自体は以前からあり、亡くなった時に相続と贈与をまとめて精算して納税する制度ですが、内藤先生によれば「使い勝手が悪く、あまり税理士さんはお薦めしていなかった制度」だそうです。

今後は亡くなった時にまとめて課税

ところが来年、この相続時精算課税制度にも贈与税と同じ基礎控除110万円が適用されるため使い勝手が良くなります。

いつ亡くなるかわからない上に7年さかのぼって徴収されるぐらいなら、亡くなった時にまとめて精算するほうが楽ということで、内藤先生はみなさんこちらを選択するのではないかと語り、国としてはこの制度を活用してほしいという意図が見えます。

内藤先生「結局、相続財産を遺すと相続税をたくさん取られるので、生きてる間に移行しようという節税がメインだったんですね。

それだと不公平になるので、生きてる間の物は移行時はゼロだけど最後に相続税をかけるよという。他の国もそういった課税が多い」

また、事前に財産を妻の名義に変えておこうというのも、良くないケースがあるそうです。

内藤先生「奥さんに財産を相続させると、配偶者の税額軽減といって1億6千万円まで非課税だったりするんですよ。

ところが、あらかじめ奥さんも結構財産がある場合は、奥さんに財産が集中して今度子どもに行く時に恩恵措置がないものですから、2回目の相続で結局失敗するというケースも最近増えてますね」
 

住宅購入の援助もバレる!?

贈与に近い形ですが、こどもの住宅購入資金の一部を親が援助する場合、税務署は見逃しません。

住宅資金贈与特例というものがあり、親からは省エネ等住宅の場合1,000万円までは非課税です。
もし、1,000万円を超えて親が資金を出す場合は税金がかかるため、親から子へ貸したという体にすることが少なくありません。

その際、もし税務署が「この住宅購入資金はどうやって工面されたか」と聞かれた際、「親から借りた」と答えると、数年後、貸した親の方に「こどもさんからお金はある程度返ってきましたか?」というお尋ねがやってくることがあります。

親としてはあげたつもりなので「もらってない」と答えてしまうと、贈与とみなされて贈与税がかかることがあります。

身内どうしだからバレないと思っていても意外と知られてしまうようです。やはり税金はきちんと納める必要がありますね。
(岡本)
 
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2023年10月14日10時28分~抜粋

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