北野誠のズバリ

あなたも陥っているかもしれない、薬の過剰摂取「オーバードーズ」

8月16日、厚生労働省の研究班は、市販薬の過剰摂取「オーバードーズ」により、2021年5月から2022年12月に全国799医療機関に救急搬送された急性中毒患者は122人にのぼることを発表。

平均年齢は25.8歳で、女性は79.5%であることがわかりました。
なぜ若年女性に多く市販薬を過剰摂取する傾向が見られるのでしょうか?

8月19日放送『北野誠のズバリサタデー』では、本郷赤門前クリニック医院長、医学博士の吉田たかよし先生が解説しました。

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麻薬効果だけが理由ではない

市販薬のオーバードーズについて、市販薬の中には大量に飲むと麻薬に似た作用が出るため、麻薬の代わりに服用しているということがよく報道されています。

しかし、今回の厚生労働省の調査結果では、もう1つの理由でオーバードーズとなる人もいることを指摘しています。

それは、頭痛や生理痛がとてもつらいため、本人も良くないことと知りながら痛み止めを大量に飲んでしまうことも指しています。

オーバードーズで最も多かったのは鎮痛剤。
過剰に摂取してしまうと、肝臓が壊死してしまい機能不全に陥ることもあったり、スティーヴンス・ジョンソン症候群というものに陥り、失明してしまう危険性もあるそうです。

2番目に多かったのは咳止め。
コデインという成分が精神的な苦痛が感じなくなる効果を持っていますが、過剰摂取により麻薬のような効果を狙ったものです。
副作用として呼吸が抑制され、最悪亡くなってしまうことがあるそうです。

3番目に多かったのは風邪薬。
こちらはメチルエフェドリンという成分を過剰に摂取することで脳に快感が生じます。
ただ、カフェインも含まれていて、過剰に摂取すると不整脈が起きて亡くなることもあるそうです。

頭痛薬の飲み過ぎで頭痛

利用者は決して麻薬のような効果を狙っているわけではないそうです。
痛みをやわらげたい一心で服用するのですが、なぜ過剰摂取に至ってしまうのでしょうか?

吉田「最初はほぼ全員、ちゃんと使用量を守ってるんですけど、十分効かないと少し量を増やし、その時は効いた気になるんですけど、やがて効きが悪くなる。
また増やすということを繰り返していって、気がついたら、本来の量を超えた量をついつい飲んでしまって、その結果中毒症状を起こすということがあるわけですよね」

また「頭痛薬の飲み過ぎで頭痛を起こすというケースもある」と警告する吉田先生。

吉田「これを薬物乱用性頭痛っていうんですけど、この場合は市販薬ではなくて、ちゃんとクリニックで診察を受けていただいて、適切な頭痛薬に変えていただくと治るケースはかなり多いですね」

若年女性に過剰摂取が多い理由

女性特有の生理痛はもちろん、偏頭痛に関係するエストロゲンは女性ホルモンです。
市販薬を過剰摂取するほど、若年女性はつらくなります。

また麻薬効果を狙うオーバードーズも若い女性が多いそうです。
吉田先生によれば「女性ホルモンの動きで妊娠しやすくさせている一方で脳に負担をかけ、うつの発症率が高い。そのため現実逃避としてオーバードーズに頼ってしまうことがある」のだそうです。

こうしたケースでは心療内科などに受診するのが最も良いのですが、オーバードーズで注意すべき点は、本人に自覚がないためにそもそも受診しようと思わないことです。
そのため、家族が気づいたら病院に連れていくことが大事です。

なお、オーバードーズについての相談窓口は全国で多く設けられています。この記事を読んで「自分は市販薬を多く飲んでいる」と思った方は、相談してみてはいかがでしょうか。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2023年08月19日09時42分~抜粋

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