北野誠のズバリ

職場で不倫カップルが性行為…会社は解雇できる?

Webサイト『弁護士ドットコム』が8月11日、会社の当直中の性行為は懲戒解雇にあたるのか、との相談を掲載しました。

相談者の職場では宿泊を伴う宿直業務があり、当事者は双方とも既婚者で状況証拠が十数回あり、現場を押さえている証拠は2回あるとのこと。

この2人は注意されたものの、繰り返したとのことです。

「職場の名誉を毀損し、利益を害してはならない。職場の秩序や規律を乱してはならない」といった規定もあることから、相談者や同僚は懲戒解雇を含む処分を望んでいるとのことですが、実際、懲戒解雇は可能なのでしょうか。

8月12日放送『北野誠のズバリサタデー』では、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が、この問題について解説しました。

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解雇する理由にはルールがある

「職場での性行為は嫌」と生理的な嫌悪感は理解できますが、これが懲戒解雇させる根拠となるのでしょうか?

原「法律的には労働契約法で解雇の合理的必要性、相当性という決まりがあるだけで、具体的にどういうものを処分するのかは、就業規則に書いてあることになりますね」

では、今回のケースは就業規則違反に当てはまりそうなのでしょうか?

原先生「どこの就業規則もだいたい職場の風紀を乱してはならないって書いてますが、風紀がこの性行為のことをいうのか、というところなんですよね。

オープンにすると風紀を乱してますけど、隠れてしていると本当に風紀が乱されてるのかなと。もし独身同士であれば非難される話でもないし。

やっぱり状況によって、不倫なのかとか、当直という就業時間中ですから、電話から離れ、本来の業務が遂行できないとか事情があれば、解雇ができるかもしれませんが、一般的には難しいんじゃないかと」

会社は動きたくない?

原弁護士によれば、実は最近、このような内容の相談が増えているそうです。

原「おそらく内部通報で、気持ちが悪いとか許していいのかとか、会社も動かざるを得なくなって。
ただ、会社の本音は、こういう事案ではあまり動きたくない。どちらかにも恨まれるので。

(会社が)プライベートに入るということは非常にそれ自体が問題じゃないかと言われるかもしれないし。

また『風紀を乱す』というのは評価が難しいので、1回だけでもダメなのか、複数回だとどこまで良いのかとか、そんなことを真面目に議論したくない。

でも一方で通報者からすると、支障が出るのですぐ動けということで、動かざるを得ない状況が増えてるんだろうなと思うんですよね」

会社は簡単に解雇できない

問題の解決のために会社が動き、もし解雇を言い渡した場合、逆に当事者から訴えられる可能性があるそうです。

原「身分の地位確認請求をされる可能性がありますが、不貞状態だとやりにくいですけど、独身だと『何が悪いんですか?』って言われる可能性があるし、(いきなり解雇ではなく)まず注意してよ、というところから始まる。

もし独身同士で結婚すると、よくわからなくなってくる」

これまでも判例はあるそうですが、解雇の理由としては、不倫や性行為そのものが原因というよりは、就業時間中に抜け出して会っていたことなどのようです。

もし不倫による解雇があるとすれば、上司が自分の地位を利用して無理やり部下を付き合わせたケースなどが考えられ、「不倫が会社に損害を与えたから解雇」とはならないようです。
(岡本)
 
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2023年08月12日10時50分~抜粋

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