北野誠のズバリ

人の名前が思い出せない…原因はスマホの使い過ぎ?

人の名前がなかなか思い出せず、イライラするというのは誰もが経験することです。

ただ、同じぐらいの関係性の人でも、思い出せる場合と思い出せない場合があるのはなぜでしょうか?

7月8日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリサタデー』では、記憶と脳の関係について、『思い出せない脳』(講談社現代新書)の著者で、名古屋大学環境医学研究所脳機能分野教授の澤田誠先生に話を伺いました。

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人が記憶するしくみ

そもそも人が何かを記憶する時、脳では何が起こっているのでしょうか?

澤田先生「脳の中の神経細胞が数万、数十万関係していて記憶の本体を作るんですけれども、普段いろいろ入ってきた情報を、寝ている時に『長期記憶』という形で大脳皮質の神経ネットワークにするんですよね。

ただ、大脳皮質には1千億ぐらいの神経細胞があると言われてるんですけれども、やっぱり有限なんですよね。
すべての記憶を蓄えようとしても、だいたい半年分ぐらいの記憶しか蓄えられないんです。

それを人間は記憶として残すために、重要な記憶を取捨選択するんです。

取捨選択をするメカニズムが情動(うれしさや悲しみなどの感情のこと)、感情の振れ幅が大きいものが、より重要な情報として記憶に残していく」

例えば怖かった経験は今後生きるために必要なこととして記憶されますが、あまり感情が動かなかったことは覚える必要がないものと見なして記憶されないようです。

脳が物事を記憶する目的は、コンピュータのように情報を記憶するためというよりも、生きるために重要な情報を蓄積し、「危険なことが起きた時に何をすれば良いのか」という意思決定をするためなのです。

人の名前が思い出せない

歳をとってくると、人の名前など物忘れが多くなってくるのですが、澤田先生によれば「覚えるためには何かと紐付けるのが大事」なのだそうです。

澤田先生「脳はエピソード記憶という経験に基づいた記憶の部分と、人間が作った言語や数字という意味記憶があって、脳の本質的には経験のほうが覚えやすいんです。

名前が出てこないのは意味記憶といって、人類が発展してきてわりと最近にできた言語があって、それが意味になってるんですけれども、そちらの方は脳は苦手なんです」

人の名前は単なる文字ですので、そこにどのような話し方をする人か、会った時に何があったのか、見た目がどうだったかといった周辺の情報と紐づけないと、覚えにくいそうです。

スマホは脳の退化につながる?

ふと「あの芸能人の名前は何だったっけ?」と思っても、今ならすぐにスマホで調べられます。
一方で、脳の退化につながるかもしれないと、できるだけ自力で思い出そうと頑張った経験をする方もいるでしょう。

頻繁にスマホで調べ物をすることは、脳に良くないものなのでしょうか?

澤田先生「情報を取る手段としては、とてもスマホは便利なんですけど、昔はこういうものがなかったので、辞書を持ってたり名簿を持ってたり、そういうのが携帯できない場合は覚えてないといけなかったんですけど。

実際に脳の機能としては、名前を覚えるっていうことが中心の機能ではないので、便利な検索ツールがあれば使えば良くて、周辺の情報を記憶として残しておく方が重要です。

スマホを使った検索も、記憶を刺激するひとつのツールになるので、私は否定をしないですね」

思い出しやすい脳を作るには?

脳の記憶を活性化するためには、何をすれば良いのでしょうか?

澤田先生「まず記憶を作るのに睡眠が重要なんですね。起きている時に入ってきた情報と、もともと脳に蓄えられている記憶を比べて『どっちが得か』という取捨選択するのが、寝ている時の脳の状態なんですね。
しっかりと睡眠を取るというのが、思い出せる脳を作るポイントだと思います。

あと、脳は他の臓器と同じで、血液の流れが順調でないといけないので、健康な状態を保つということです」

そして前述のように、感情が動けば記憶に残りやすいということなので、新しい場所に足を運ぶ、新しいことに好奇心を持つようになると、記憶に残りやすいそうです。

例えば、普段何気なく歩いている道でも「新しい花が咲いてる」など、ちょっとした変化に目を向けたり、散歩や通勤通学のコースを変えたり、いつも行っている店を変えてみたりといったことが、脳の活性化につながるそうです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2023年07月08日10時29分~抜粋

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