北野誠のズバリ

3,000社の就職試験で替え玉受験!被告の裁判で語られた動機とは

6月15日放送『北野誠のズバリ』は特別企画として、数多くの裁判を傍聴し続けている芸人、阿曽山大噴火が「2023年上半期ベスト裁判」と題し、印象に残った裁判を紹介しました。

ここで紹介するのは2022年に発生した「就職試験替え玉事件」の裁判です。

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替え玉受験で報酬は400万円

2022年11月、企業の採用試験で使用されるWebテストにおいて、受験者の依頼により替え玉受験をしたとして、警視庁は私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで、大手電力会社社員の男を逮捕しました。

この男はTwitter上でWebテストをうたい、全国の就活生約300人になりすましてテストを受け、報酬として約400万円を受け取っていたとのこと。

Webテストの代行行為が摘発されるのは全国初とみられています。

コロナ禍によって就職試験がリモートで実施されるケースが増えましたが、一方でカンニングなどの懸念もあり、今回はその懸念が的中した形となっています。

起訴内容によれば、2022年3月1日から4月7日までの間、本人とは異なる嘘の回答を送信したことで、被害を受けた企業が使用しているパソコンに対し記録させ、電磁的記録を不正に作り利用したとのことです。

3,000社ものテストを受験

検察の冒頭陳述によれば、被告人は2020年に大学院を卒業し、外資系の企業に就職した後転職し働いていましたが、前科や前歴はありません。

友人から誘われて2019年から就活生に代わりWebテストを受けていたそうですが、当時はあっせん業者が間に入っていたそうです。

しかし「直接就活生から依頼を受けた方が稼げる」と考え、2020年8月からはTwitterで学歴や職歴など自分のプロフィールを挙げて活動していたそうです。

金額は2科目4,000円と、これまでの金額と同じか若干安い金額で募集していましたが、逮捕までの間に約300名、約3,000社ものテストを代わりに受けていました。

被告人は罪を認めていますが、法廷では被告の父が情状証人として出廷。

今後被告人の監督を行うとともに、「息子はこどもの時に褒められると舞い上がって有頂天になるところがあった」と語りました。

他人の役に立てたのか?

被告人質問では、弁護人から「取り調べの時に『替え玉はグレーだと思っていた』と答えていますが、これはどういう意味ですか?」と問われました。

被告人は「悪いけど法には触れないと思っていた」と回答。

またやめずに続けていた理由については、「友達の紹介でWebテストで苦労している方がいると知りました。優秀な方が足切りされているのを防ぐため、他人のためだと思っていました」と答えました。

実際に依頼者から感謝の言葉も受けたようですが、「実際に他人の役に立っていると思うのか?」との質問。

被告人は「ためにならないです。完全に間違ってます。仮に入社したとしても企業が困るのは明らかですし、犯罪に巻き込むことにもなるので、人助けという考え方が間違ってました」と反省の弁を述べました。

人助けの意識が強いとのことですが、得た報酬の使い道について問われると、「外食やウーバーイーツに使ったり、あとは猫を飼ったり、靴やレコードを買ったり、タクシーを使ったりしていました」と、贅沢な用途には使用していなかったようです。

現在は飲食店でアルバイトをしていて、家族に恩返ししたいと語っています。

今年3月に判決が出て、懲役2年6か月執行猶予4年となりました。

受けた試験の合格率はほぼ100%ということですから、その優秀な頭脳を使ってまっとうな人助けをしてもらいたいですね。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2023年06月15日15時24分~抜粋

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