CBCラジオ『北野誠のズバリ』「中高年よろず相談室」では、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、リスナーからの健康相談に乗っています。
5月19日の放送で寄せられた相談は65歳女性から「最近68歳の夫が怒りっぽくなった」というものでした。
年齢との関連性などを吉田先生が解説します。聞き手は北野誠です。
68歳の夫が急に怒りっぽくなった!こんな病気の可能性も…
怒りっぽくなった夫
65歳女性Aさんからの相談です。
「最近、夫がやたら怒るんです。前は温厚な人で怒っている姿を見たことも聞いたこともありません。
ところが、最近ではレジでちょっと待たされただけでも怒ったり、ラーメンと餃子がビールと同時に出ただけでも『順番が違う!』と店員にクレームをつけていました。
夫は現在68歳。65歳で定年を迎えとても健やかに過ごしていたのですが、ここ数か月急に怒ることが増えました。
これは単なる加齢なのか、もしかして、病気も潜んでいるのか心配です」
確かに急に怒り出してトラブルとなる高齢男性が、ニュースやSNS等で話題になることがあります。
何か共通する原因があるのでしょうか?
「最近、夫がやたら怒るんです。前は温厚な人で怒っている姿を見たことも聞いたこともありません。
ところが、最近ではレジでちょっと待たされただけでも怒ったり、ラーメンと餃子がビールと同時に出ただけでも『順番が違う!』と店員にクレームをつけていました。
夫は現在68歳。65歳で定年を迎えとても健やかに過ごしていたのですが、ここ数か月急に怒ることが増えました。
これは単なる加齢なのか、もしかして、病気も潜んでいるのか心配です」
確かに急に怒り出してトラブルとなる高齢男性が、ニュースやSNS等で話題になることがあります。
何か共通する原因があるのでしょうか?
怒りの仕組み
「医学的にも歳をとると怒りっぽくなると実証されています」と話す吉田先生。
そもそも怒りっぽさは年齢で変化します。若い頃は、血気盛んといいますが、実際、脳は怒りっぽいです。それが中年になっていったん温厚になり、高齢になるとまた怒りっぽい脳になります」
これは脳が若返ったわけではないそうで、若者と高齢者では怒りのメカニズムが異なるそうです。
吉田先生「怒りの感情の大元は脳の扁桃体という部分で作っています。それを腹内側前頭前野という脳の部分で抑え込んでいます。
怒りを生み出す部分と抑える部分のバランスが年齢で変わります。
若い頃は怒りを生み出す扁桃体が暴走しやすくて怒りっぽい。
中年になるとそれが治まってきますが、高齢になると今度は腹内側前頭前野が老化してきますので、怒りを抑えることができなくなります。歳をとって怒りっぽくなるのは脳の老化現象です」
つまり若い人の怒りは「扁桃体の暴走」で、高齢者の怒りは「腹内側前頭前野の衰え」が原因となるそうです。
そもそも怒りっぽさは年齢で変化します。若い頃は、血気盛んといいますが、実際、脳は怒りっぽいです。それが中年になっていったん温厚になり、高齢になるとまた怒りっぽい脳になります」
これは脳が若返ったわけではないそうで、若者と高齢者では怒りのメカニズムが異なるそうです。
吉田先生「怒りの感情の大元は脳の扁桃体という部分で作っています。それを腹内側前頭前野という脳の部分で抑え込んでいます。
怒りを生み出す部分と抑える部分のバランスが年齢で変わります。
若い頃は怒りを生み出す扁桃体が暴走しやすくて怒りっぽい。
中年になるとそれが治まってきますが、高齢になると今度は腹内側前頭前野が老化してきますので、怒りを抑えることができなくなります。歳をとって怒りっぽくなるのは脳の老化現象です」
つまり若い人の怒りは「扁桃体の暴走」で、高齢者の怒りは「腹内側前頭前野の衰え」が原因となるそうです。
男性と女性の違い
なぜ男性の方が、女性に比べて怒りっぽくなるのでしょうか。
吉田先生「これは男性の方がコミュニケーションが少ないので、脳の老化自体が起こりやすいからです。
女性は怒りっぽくなっても、対人関係のバランスが取りやすいので、本当は怒っていてもそれを抑えることが男性よりできるのです。
あと定年も大きくて、定年を機に一気に脳を使わなくなって、老化して怒りっぽくなることもあります。
女性は定年でリタイアした後も、家事とかで大変です。だから脳が老化しにくいので、比較的老化で怒りっぽいというのが少ないです」
吉田先生「これは男性の方がコミュニケーションが少ないので、脳の老化自体が起こりやすいからです。
女性は怒りっぽくなっても、対人関係のバランスが取りやすいので、本当は怒っていてもそれを抑えることが男性よりできるのです。
あと定年も大きくて、定年を機に一気に脳を使わなくなって、老化して怒りっぽくなることもあります。
女性は定年でリタイアした後も、家事とかで大変です。だから脳が老化しにくいので、比較的老化で怒りっぽいというのが少ないです」
認知症、うつ病の可能性も…
怒りっぽくなることが、病気の前ぶれであることはないのでしょうか?
吉田先生「これも多いです。原因の病気としては、認知症が一番多いです。あと、うつ病、ホルモンの病気も多いです。
まず認知症になると、怒りを抑える方の腹内側前頭前野が重点的にダメージを受けます。だから怒りっぽくなります。
アルツハイマーでも起こりますが、特に激しい怒りが出やすいのはレビー小体型認知症というタイプです。これは幻覚、妄想が出やすいのが特徴ですが、怒りも出やすいです」
うつ病が原因で怒りっぽくなる、というのはどういうことなんでしょうか?
吉田先生「人数だけでいうとイライラしたり、怒りっぽくなる人の方がむしろ多いくらいです。
どうしてかというと、うつ病で癒しホルモンのセロトニンが減ってしまって、それで気分が落ち込み、怒りっぽくもなります。うつ病で一番多いのが落ち込みながら怒る人です」
吉田先生「これも多いです。原因の病気としては、認知症が一番多いです。あと、うつ病、ホルモンの病気も多いです。
まず認知症になると、怒りを抑える方の腹内側前頭前野が重点的にダメージを受けます。だから怒りっぽくなります。
アルツハイマーでも起こりますが、特に激しい怒りが出やすいのはレビー小体型認知症というタイプです。これは幻覚、妄想が出やすいのが特徴ですが、怒りも出やすいです」
うつ病が原因で怒りっぽくなる、というのはどういうことなんでしょうか?
吉田先生「人数だけでいうとイライラしたり、怒りっぽくなる人の方がむしろ多いくらいです。
どうしてかというと、うつ病で癒しホルモンのセロトニンが減ってしまって、それで気分が落ち込み、怒りっぽくもなります。うつ病で一番多いのが落ち込みながら怒る人です」
家族の対応の仕方
家族の誰かが怒りっぽくなったら、どう対応したらいいのでしょう?
吉田先生「急に怒りっぽくなった場合は病気が隠れている可能性があります。念のため、まずは精神科に連れていってあげていただきたいです。
もし病気でなかったら、次は自分の脳を守ることです。カリフォルニア大学の研究ですが、怒りは周囲の人の脳に伝染して、その人の健康を害することがわかりました」
怒りが伝播しないためにはどうすればいいですか?
吉田先生「これもカリフォルニア大学の実験で立証されましたが、怒っている人を目で見るだけで、見てる人のストレスホルモンは増える、血圧は上がる、胃腸の動きが悪くなる、健康に悪い効果がいろいろあるとわかりました。
ご主人が怒り始めたら、ご相談者はそっぽを向くとか、目を伏せるとか、ご主人を自分の視野に入れないことが大事です。自宅なら違う部屋に避難する、トイレにこもることをお勧めしています」
吉田先生「急に怒りっぽくなった場合は病気が隠れている可能性があります。念のため、まずは精神科に連れていってあげていただきたいです。
もし病気でなかったら、次は自分の脳を守ることです。カリフォルニア大学の研究ですが、怒りは周囲の人の脳に伝染して、その人の健康を害することがわかりました」
怒りが伝播しないためにはどうすればいいですか?
吉田先生「これもカリフォルニア大学の実験で立証されましたが、怒っている人を目で見るだけで、見てる人のストレスホルモンは増える、血圧は上がる、胃腸の動きが悪くなる、健康に悪い効果がいろいろあるとわかりました。
ご主人が怒り始めたら、ご相談者はそっぽを向くとか、目を伏せるとか、ご主人を自分の視野に入れないことが大事です。自宅なら違う部屋に避難する、トイレにこもることをお勧めしています」
怒りには「ふわふわしたもの」が効く
この他、高齢者が怒りの感情を止めるには、ペットを飼うのがいいという説もあるようです。
吉田先生「これもエール大学の研究で判明しました。ふわふわしたものを抱きしめると、脳の扁桃体が怒りの感情を生み出しにくくなるというデータが出ました」
これはぬいぐるみでもいいそうです。
吉田先生「また、布団を抱きしめてもいいです。これで怒りが出にくくなります」
(みず)
吉田先生「これもエール大学の研究で判明しました。ふわふわしたものを抱きしめると、脳の扁桃体が怒りの感情を生み出しにくくなるというデータが出ました」
これはぬいぐるみでもいいそうです。
吉田先生「また、布団を抱きしめてもいいです。これで怒りが出にくくなります」
(みず)
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