北野誠のズバリ

在庫がない商品を取り寄せた後にお客さんがキャンセル。代金は請求できる?

身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)、「ズバリ法律相談室」のコーナー。

5月10日の放送で取り上げたのは、雑貨店を営んでいるAさんからの「在庫がない商品を取り寄せた後に、お客さんからキャンセル。代金は請求できる?」という相談です。
オリンピア法律事務所の原武之弁護士が、この質問に答えました。

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法律でキャンセルできるはず?

「以前お客さんから電話でお店に在庫のない商品が欲しいと言われたので、取り寄せました。
しかし商品がお店に届いた後になってから『やっぱりいらない』と連絡があり、怒り心頭。
『キャンセルはできません』と伝えると、『法律でキャンセルできるはずだ』と言われました」(Aさん)

「注文後のキャンセルはできません」と事前に伝えていなかったため、やむなく承諾してしまったというAさん。この場合、果たして代金を請求することはできるのでしょうか?

まず「法律でキャンセルできるはず」という客の言い分から。

原弁護士「向こうが購入の意思を示して、店が承諾して取り寄せたということなので、契約は成立していたということになりますから、基本はキャンセルはできないということになります」

「取り寄せ」と「取り置き」の違い

無条件で解約できる「クーリングオフ」とはどう違うのでしょうか?

クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売など一定の取引形態に限定されているため、今回のケースは適用外です。
つまり、Aさんは代金を請求することが可能だったといえます。

しかし、ここにひとつ問題があります。
それは「取り寄せ」と言っていたのか、「取り置き」と言っていたのかということ。

「取り寄せ」は、在庫がないから取り寄せをお願いする、積極的な行為。
一方の「取り置き」は、「また来るから置いておいてね」という程度の、積極的ではない行為だというのです。

原弁護士「どこまでを契約成立とみなすかは非常に難しくて。普通、取り置きだと『あったら置いておいてね』ぐらいなので、成立していないという解釈もできると思うんですよね」

トラブルを防ぐための自己防衛

今回のケースでは、「キャンセルはできない」ということを最初に伝えておくべきだったと言えます。

原弁護士「契約は成立してるから『注文を受けたら解除はできません』と伝えておけば、トラブルにならなかったと思うんですけど」

このことで「説明義務が足りなかった」と言われてしまう可能性はあるということです。

手付金を払ってもらうというのも、ひとつの手段としては有効かもしれません。

原弁護士「手付けや保証金を取るのは、売買が成立してるということですから意味があると思うんですけど。なかなかお金を取るのは難しくて。
申込書をちゃんと書かせて、そこでキャンセルできませんというサインをさせるといいですかね」

今回のAさんのようなケースを防ぐためには、トラブルを防ぐための自己防衛が必要のようです。

また、購入の意思があるのか、それとも見てみたいだけなのか、というところも確認をして、思い込みで物事を進めないようにするのも自衛になるようです。
(minto)
 
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2023年05月10日14時13分~抜粋

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