北野誠のズバリ

運転中にくしゃみをして死亡事故?防ぐにはどうしたらいい。

4月21日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』「中高年よろず相談室」にはこんな相談が寄せられました。

「運転中にくしゃみをして意識障害になり、死亡事故を起こした話を聞いて心配になりました」

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生がこの悩みに答えます。

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くしゃみで失神?

相談の詳しい内容です。

「私はアレルギー持ちで普段からくしゃみをよくします。
先日くしゃみで意識障害という記事を見ました。中には運転中で死亡事故の例もあると書いてありました。
私もよくくしゃみが出ますし運転もします。心配になってきました。

どうしてくしゃみで意識障害になったりするのでしょうか?どういったことに気を付けた方がいいですか?」(52歳・男性・Aさん)

くしゃみで意識障害は起こるものでしょうか?

吉田「これはあり得ることです。例えば今年3月、大阪市で乗用車が病院に突っ込んで、女性2人が死亡するという事故がありました。
ドライバーは逮捕されましたが、警察に『くしゃみをしていたら意識が遠のいていった』と供述しています。くしゃみで失神するというのは医学的にあり得ることです」

くしゃみから失神はなぜ起こるのでしょうか?

吉田「くしゃみをすると、鼻の奥に空気の強い圧力がドンと加わります。それによって迷走神経が刺激を受けて、血圧が急激に下がる。それで脳に十分な血液が届かなくなって脳貧血で失神するわけです。

この迷走神経は首からお腹にかけて、あっちにいったり、こっちにいったり、迷走しているようだと思ってこの名前が付きました。
迷走神経が刺激を受けて、血圧が下がって失神するという現象で迷走神経反射といいます」

迷走神経反射で失神したら

「大きなくしゃみでないと失神までにはいかないです」と語る吉田先生ですが、もし失神したらどうしたらいいですか?

吉田「横になって安静にすればほとんどの方はすぐに元に戻ります。脳に後遺症を残すこともないです。失神して倒れる時に頭に大けがをする人は結構います。

だから意識が遠のいてきたなと思ったら、すぐにその場でうずくまることが大事です。頭の位置が下がったら血圧が下がっても、ある程度脳に血液を供給できるので、失神を防げるし、しかもうずくまっていたら、頭を強打することはないです。その後、脳神経科を受診していただきたいです」

前兆現象は?

運転中の場合、対策はあるのでしょうか?

吉田「これ、怖いと思われた方は多いと思いますが、それまで何の兆候もなかった人がくしゃみをしていきなり失神するということは、まずないです。
それまでに迷走神経反射のなんらかの症状が出ていたはずです。

特に多い前兆現象が、長時間立ち続けていたら立ちくらみをしたりめまいをしたとか。
よく、朝礼で立ちくらみをする生徒さんがいます。あれは多くは迷走神経反射です。立ち続けるということが迷走神経を刺激する。
こういう経験がある方はベータ遮断薬とか抗コリン薬とか、迷走神経反射が起きにくくなる薬を脳神経科で必要に応じて処方してもらうといいですね」

くしゃみには足を温める

くしゃみは止まらないことがありますが、原因はなんでしょう?

吉田「これは鼻の奥の粘膜が過敏になると、何か菌とかウイルスが入ってきた可能性があるとくしゃみをする。1回すると、さらにその刺激で鼻の粘膜が過敏になる。だから止まらないわけです。

対策として足を温めるといいです。実は足の温度と鼻の奥の粘膜の状態は、自律神経を通して連動していることが最近わかってきました。
足の温度が下がると、鼻の奥で冷たさを感じている感覚細胞が過敏になって、それで冷たい空気が入ってないのに、入っているように感じてくしゃみが出ます。
逆に足を温めたら過敏でなくなるのでくしゃみが出にくくなります。

足を温めるメリットはもうひとつあります。くしゃみが出る時は鼻が詰まったりします。足を温めたら腫れている鼻の粘膜が元に戻ろうとするということもわかってきました。鼻の通りもよくなります。アレルギーの人は足を温めると二重三重にいいです」

北野「花粉症の症状もそれで緩和されますね」

くしゃみをむやみに怖がらないで、適切な対応を心掛けましょう。
(みず)
 
北野誠のズバリ
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2023年04月21日14時14分~抜粋

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