北野誠のズバリ

進む「副業解禁」。いまだ残る法律上の問題とは?

これまでフリーランスとして扱われてきたウーバーイーツの配達員をめぐり、東京都労働委員会は昨年11月、労働組合法上の労働者であるとの判断を示し、大きな注目を集めました。

ただ、こうした「雇用と自営の中間」とも言える働き方については、残業や最低賃金規制、労災加入などが認められる労働基準法、労働契約法上の労働者として認めるべきかどうかという課題があります。

日本ではまだ議論が活発化していませんが、世界の流れを見ると、このような働き方は労働者とみなす動きが広まっています。

4月15日放送『北野誠のズバリサタデー』では、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が「フリーランスの労働問題」について解説しました。

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労働者は守られる?

このニュースに「もちろん配達員も労働者だから、労働に関する法律で権利を守れば良いのでは?」という声もありますが、そう単純な話ではないようです。

原弁護士はこの問題が難しい理由として、「自由に働きたいという人からすると、労働者っていうことになると(自由に働きづらくなる)。最低賃金の問題とか残業の問題とか、守られてるからこそ規制みたいになっちゃうんですよね」と語りました。

一方で、法律による規制がかからないと、酷使されたり危険な環境で働いたりするというリスクを伴う可能性があります。

東京都労働委員会の今回の判断としては、労働組合法上は労働者にあたるとしたため、組合を作って会社と協議をする立場は認めたことになります。

副業をめぐる法律的な問題

今後は労働時間規制や最低賃金などが保証される労働基準法が適用されるかどうかがポイントとなります。

ただ、原弁護士は「今の日本で言われている働き方改革がちぐはぐ」と語ります。

原「ゆとりを持とうということで残業規制が激しくなっても、賃金が上がらないから副業解禁で補おうとしていて、ウーバーイーツとかIT系を使って副業してくださいよと。

そこで健康を害した時どうすんのとか、(本業と副業の労働時間を)両方合算すると働きすぎになった時どうするのとか、誰が監督するのかっていう話ですね。

ウーバーで事故に遭ったらウーバー側の労災になりますけど、居眠りしてたとか疲れたということになったら、その原因は主として働いている会社じゃないんですか?という話になったり。

あと、普通の会社業務だと労災で休んで良いですけど、ウーバーで労災になったら本業で休んでいいんですか?とか、よくわからない状態」

まだまだ課題の多い副業

北野誠は「残業がしたいかしたくないかは個人によって異なるので、過労死になるぐらい働かせるのは論外」としつつ、国が決めることではなく会社内で調整すれば良いのではないかと語ります。

原「残業代の考え方は1.5倍とか1.25倍にすることによって、残業を抑制しようと言っていたのに、他社に行ったらわからず、ずっと1倍で割増をつけてもらえないという状態もできかねない。

労働者も移動して副業すると移動時間も無駄になりますし、そういうことを考えないといけないんですけど、世の中の動きが速すぎて、まったく法律がついていけない状態になっちゃってるんですね。

大きなトラブルが起きた時しか、たぶん立法は動かないと思うんで、どうする気なのかなと」

副業解禁があたかも新しい働き方といったようにもてはやされていますが、法律はまだ整備されておらず、さまざまな問題を抱えているようです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2023年04月15日10時51分~抜粋

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