北野誠のズバリ

知らなかった!家賃の値上げは断ることができる

4月から多くのものが値上げとなりましたが、家を借りている人にとって毎年悩みの種なのが、賃料の値上げではないでしょうか。

『北野誠のズバリ』の水曜日に放送されている「ズバリ法律相談室」コーナーでは、リスナーから届いた法律に関する疑問やお悩みなどのおたよりに対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答。

4月5日の放送では家賃の値上げに対して、あまり知られていない法律上の対処法を紹介しました。

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更新時にいきなり値上げの話

今回、紹介するおたよりは次のとおりです。

「お借りしている家の更新が近かったのですが、管理会社さんから家賃の値上げの案内が届きました。

更新する直前だったのでどうすることもできず、値上げを受け入れようと思っていたのですが、これってそもそも応じないといけないものなのでしょうか?
せめてもうちょっと早く案内をしてほしいなとも思います」(Aさん)

「値上げするんだったら、その前に引っ越そう」とは、なかなかすぐにはいかないものです。

事実上受け入れざるを得ない状況は、確かに納得がいかないものですが、実際に拒否しているような事例はあるのでしょうか?

原「あまり表立って動くことはないんですけど、『値下げができますか?』という相談は一定程度あるんですが。
ただ(今までが)デフレ下だったので、値上げの話はそんなに多いっていうイメージはないですね」

家賃を値上げしても良いケース

では、実際に家賃の値上げは正当なものなのでしょうか?

原「例えば借地借家法が適用されて、借主の地位は結構守られてるんですけど、それでも40年前に貸してずっと貸しっぱなしとか、バブルの後低い時に貸してだんだん上がってきたので、近隣相場から外れてるとか、そういう場合には結構増額請求というのはありますね。

一応法律上、変動がある場合には増額請求の話し合いをして、ダメな場合は請求していいよと書いてあります」

ただ、Aさんの場合は更新直前にいきなり値上げを要求されていますが、これはいいのでしょうか?

原「更新は当然1か月前とか3か月前とかに言うって契約書に書いてあると思うんですけど、値上げに関してはいつ言ってもいいんですね。

これがちょっとずるいなと思うのが、更新の前に言われると、(値上げに応じなかったら)更新してもらえないんじゃないかっていう不安に駆られて、応じなきゃいけないんじゃないかなと思ってしまうかもしれないですけど、これはまったく別問題なので」

値上げを断ったらどうなる?

原弁護士によれば、更新については借主の立場が強い、更新と値上げは別物とのことですが、もし値上げを断っても更新はできるのでしょうか?

北野「値上げに納得できなかった場合は、今まで通りは払うけど、上げた分は払わなくてもいいってことなんですか?」

原「今までどおりの金額を口座に振り込んどけばいいってことですね」

値上げを断ったら即退去ではなく、実は断っても更新して住み続けることはできるそうです。

もちろん、貸主が裁判や調停を申し立てる可能性がありますが、原弁護士によれば申し立てまでする人はあまりおらず、追い出すにしても家賃の増額を断るのは正当な理由にならないそうです。

なお、家賃が口座振込ではなく手渡しで「家賃の増額を受け入れないなら、家賃の受け取りは拒否する」と言われてしまった場合は、法務局で「供託」という手続きを行うと、家賃を払ったのと同じ扱いになるそうです。

ただ貸主からすると、実際に上げざるを得ない状況、例えば共用部分の電気代や管理人の人件費が上がるなどといったこともあるため、値上げするなら理由を説明するのがいいそうです。

北野はあらためて「法律って知ってるモンのほうが得やなあ」としみじみ漏らしました。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2023年04月05日14時13分~抜粋

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