和食に欠かせないものの1つといえば漬物。
実は漬物が、このままだとかなり生産量が減ってしまうかもしれないことはご存知でしょうか?
3月8日放送『北野誠のズバリ』では、お笑いコンビ米粒写経のサンキュータツオが、とても気にしているという「漬物の危機」について語りました。
10年以上前の食中毒事件
ドライブや旅行で道の駅に行くと、よくご当地の漬物が売られていますが、将来販売されなくなるかもしれないのだそうです。
これは朝日新聞の沢伸也記者がずっと追いかけている問題で、きっかけは2012年に札幌市にある食品メーカーが起こした食中毒事件。
浅漬けからO-157が検出され、169名に食中毒の症状が現れ、8名の方が亡くなられました。
その後、浅漬けと漬物を区別し、浅漬けを規制しようとする動きが出てきました。
本来、漬物は長時間塩に漬けるために菌が増殖しづらく、食中毒はほとんど起きていません。
しかし浅漬けの場合、塩分が少なく漬ける時間が短いため、メーカーによってはかなり扱いが適当になり、食中毒を引き起こすことにもつながってしまったわけです。
食中毒を防ぐ目的で食品衛生法が改正されたのですが、浅漬けと漬物は区別されず、浅漬けだけではなく漬物の管理も厳しくなってしまったのです。
衛生面の強化は良いが…
法改正により「作っている場所が清潔かどうか」「設備は整っているか」「専用のトイレはあるか」「蛇口を触らずに水が出るようになっているか」など、クリアしなければ浅漬けのみならず、漬物を売ってはいけないというルールになってしまいました。
また、これまでは届出をすれば誰でも漬物が販売できていたのですが、許可制に変わり、基準をクリアしなければ販売ができなくなりました。
消費者からすると、衛生面などを厳しく管理するのはいいことのように見えます。
しかし、例えばシーズンオフに漬物を作っていた農家が、基準をクリアするために設備投資ができず、漬物の販売を止めるケースもが増えてきているそうです。
一方、これまで工場で大量に漬物を生産している食品メーカーからすると、すでに基準をクリアしていたり、他の生産者が減るという点で有利に働いたりする可能性があります。
そのため生産者側にも、この法改正には賛否両論があるそうです。
地域ならではの漬物は作れない?
タツオは「食品メーカーの漬物が悪いという意味ではない」と前置きしつつ、「この地域の人が作っていた、顔の見える生産者が売っていた物、つまり道の駅で買っていた漬物がなくなるのではないか?」と推測。
ひと口に漬物と言っても、奈良漬やいぶりがっこなど、農家が保存食として作っていた漬物が市場に出なくなるという可能性もあります。
すでに秋田では4割の農家がいぶりがっこを作るのを辞めてしまったそうです。
食品衛生法には、世界並みに基準を引き上げることで輸出しやすくなるというメリットはあります。
しかし海外では、文化を守るために伝統食などに特例を設ける国もあるそうです。
これらの規制は2021年に制定され、猶予が2024年6月までありますが、これらのニュースはあまり大きく報じられていないためか、知らない農家の方々も少なくないそうです。
地域での漬物生産を守るため、自治体の補助やクラウドファンディングを行なっているケースもあるそうですが、地域ならではの漬物が消滅してしまうのか、気になるところです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2023年03月08日14時41分~抜粋