北野誠のズバリ

間違いだらけ!きしめんの常識を正そう

名古屋めしで代表的なものの1つといえば、きしめん。

平べったい麺とだしの香りが食欲をそそられますが、世間に広まっているきしめんの評判や常識は、実は間違いだらけなのだそうです。

3月4日放送『北野誠のズバリサタデー』では、『間違いだらけの名古屋めし』(KKベストセラーズ)の著者で、名古屋に詳しいライター大竹敏之さんが、きしめんに関する正しい知識を解説しました。

[この番組の画像一覧を見る]

発祥の定説に疑問

きしめんの発祥については諸説あり、名古屋城築城の際にふるまったと言われているそうです。

しかし、大竹さんによれば、きしめんはおそらく江戸時代の中期から後期に誕生したものと言われており、この江戸初期のエピソードには信憑性が薄いと考えているそう。

きしめんには他のうどんにはない「麺が平たい」という特徴がありますが、何のために平たく作られているのでしょうか?

大竹さん「平たくすることで独特の食感、魅力が生まれるということだと思うんですよね。
あと、平たいことによって、つゆのノリが良いというメリットも生まれるんですよ」

平たくすればいいわけじゃない

ではなぜ、特に愛知県だけできしめんが浸透したのでしょうか?

大竹さん「どうして薄くできるのかというと、他の地域ではうどんをただ平たくしただけって思われがちなんですけど、他の地域の生地だと、薄くするとゆでた時にプチプチ切れちゃって、食べられなくなる。

生地の作り方からして、名古屋はちょっと独特なんですね。ひと言でいうと塩分濃度が非常に高い、かなり力強い生地。
簡単にいうと伸ばしにくい生地をあえて作って、それを伸ばすことによって、薄いのにピーンと張ったコシがある麺にできるのが、真のきしめんなんです」

塩分濃度が高いことは、地域性と関連があるのでしょうか?

大竹さん「塩分濃度を強くするというのは、この地域は高温多湿で、そうしないと麺が傷みやすいということだったとは思うんですよね」

麺をひと晩寝かせる理由

また、きしめんは生地を一晩寝かすのですが、それはなぜなのでしょうか?

大竹さん「寝かすことによって熟成感、要するに旨味が出るので、この地域は食に関しては旨味志向ですから、名古屋の人の志向に合った麺に仕上がるということになるんじゃないでしょうか」

ただ、同じ東海地方でも、三重県伊勢市で生まれた伊勢うどんとは趣きが異なります。

大竹さん「真逆ですよね。伊勢うどんは非常に柔らかくてコシというものがない麺ですからね」

きしめんは非常に作るのが難しく、ふつうのうどんよりも細い麺棒で打つそうです。
また生地をたくさん巻かないと力がきちんと伝わらず、薄くできないそう。
他の地域の職人さんでも作るのが難しいことが、名古屋以外に広まらなかった理由かもしれません。

きしめん人気がV字回復

また、名古屋自体でも手間がかかるからか、きしめんを作るお店が減ってきたそうです。

大竹さん「10年ぐらい前までは、確かに『きしめん離れ』という傾向は顕著にあったんですよね。だから、うどん屋さんでせっかく作ってもあまり出ないと。
割りが合わないということで、当時は辞めちゃったお店も結構あったみたいですね」

ただ、業界が危機感を感じたからか、おいしい食べ方などをPRするようになり、ここ数年で復活してきているそうです。

人気復活の理由のひとつが「きしころスタンプラリー」。
これは夏の期間に冷たいきしめんを出すお店が開催しているイベント。
名古屋周辺では冷たい麺を「ころ」と呼び、「きしころ」とは冷たいきしめんを指します。

また店によっては、麺をこれまでより幅広のものを提供したり、オシャレな店構えにして入りやすくしたりと、さまざまな工夫と努力がなされています。

長らくきしめんを食べていないという方も、いま名古屋に行ってみると、あなたが思っているきしめんとはイメージが変わっているかもしれません。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2023年03月04日10時30分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報