北野誠のズバリ

キツネに化かされた?『山怪』著者・田中康弘が語る「本当にあった山の怖い話」

2月23日放送の『北野誠のズバリ』、この日の祝日特集は、『山怪』シリーズの著者・田中康弘さんをゲストに迎えた「山の怪談」スペシャル。

マタギや猟師、山で暮らす人々から実際に聞いた、山で起こった奇妙な話を披露しました。

この稿では、秋田のマタギから聞いた不思議な話を取り上げます。

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クマ猟「巻狩り」の方法

マタギ発祥の地・マタギの里として知られる秋田県北秋田市の「阿仁地区」には、打当 ( うっとう ) 、 比立内 ( ひたちない ) 、 根子 ( ねっこ ) の3つの集落があります。

これは、最も奥にある打当のマタギから、田中さんが聞いた話です。

クマ猟は「巻狩り」と呼ばれる手法で行われます。下から「勢子(せこ)」がクマを追い上げ、上で銃を持つ「ブッパ(マチパ)」が逃げてきたクマを撃つ、という方法です。

猟場では、ブッパが先に登り、持ち場につきます。勢子とブッパは無線で連絡を取り合い、配置が完了したところで、巻狩りがスタートします。

行方不明者、なぜそこに?

ある時、ひとりと連絡がなかなかつかない時がありました。何度無線で呼びかけても、全く応答がありません。

滑落の心配、無線故障の可能性を考え、一度「巻解除」をして集合。その人が向かって行った方向へ探しに行きました。

しかし、その人はどこにもいません。

その後、配置場所から山を1本越えた、全く違う林道を歩いているところを発見されたのです。

見つけたのは、林道を工事していた人でした。

目の焦点が定まらない男

銃を持った人が山の方から下りてきて「ああマタギだべ」と思ったものの、目の焦点が定まらず、明らかに様子がおかしい。

工事の人が「おめさん、何してる?」と声をかけたところで、その人はハッと気付いて「ここどこだー?」とつぶやいたのです。

無事に戻ってきたあとで、仲間から「何してた?」と聞かれると「山に入ったまでは覚えてる」。

それから工事の人に話しかけられるまでの記憶が、一切ありませんでした。

その人が歩いてきたであろう道は、途中に大きな橋や小さな温泉施設がある、わかりやすい場所であるにもかかわらず、です。

こんな時、この地域の人々は「キツネに化かされた」と言います。

7人全員が「ここはどこ」

比立内でもこんな出来事がありました。

山に7人で入り、1時間ほど歩いたものの、なかなか猟場に着きません。着かないどころか、「ここがどこなのか誰もわからない」というとんでもない状況に陥ってしまったのです。

この時、7人は「阿毘羅吽欠蘇婆訶(あびらうんけんそわか)」と唱えながら必死に山を下り、無事に戻ってくることができました。

後日、「いつも行っているところだし、迷うのはおかしい。どこで迷ったか検証するべ」と、再びみんなで山に入りました。

いつもの場所でも“何か”が起きる

しばらく登ったところで、本来は右に曲がるはずのところを、その時はまっすぐ入ってしまったことが判明。7人全員が誰もこのことに気付いていなかったのです。

これもまた、「キツネにやられた」のかもしれません。

山に弁当を持っていく時は、からあげなどの脂っこいものを持って行ってはいけない。ニンニクや唐辛子を持っていくと騙されないといわれています。

山はたとえいつもの場所だとしても、“何か”が起きる可能性がある、というわけです。(minto)
 
北野誠のズバリ
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2023年02月23日13時52分~抜粋

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