法事や法要などの際に、決まったお寺のお坊さんにお世話になる方もいらっしゃるかと思いますが、困る時があるのがお布施の金額。
明確な金額やルールが決められているわけではありませんが、意外と高額だったりします。
2月15日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」コーナーでは、リスナーから届いたお布施に関するお悩みに対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しました。
お布施が分割払いで120万円!?
今回、番組で紹介したおたよりは次のとおりです。
「昔の話ですが、お寺の建て直しで義理の父親がお布施を払ったそうです。その額なんと120万円!
もちろんすぐに準備できる金額ではないので断ろうとしたら、『分割でいいから』と言われ、結局払わされたそうです。
これは義父の借金が発覚した時に知りました。
お寺からお布施を強要されたことになると思うのですが、これは罪にならないのでしょうか」(Aさん)
お布施についてお気持ちではなく、明確な金額を持ってお願いされたということで、この請求自体に問題はないのでしょうか?
お布施を納める意味
まずはお布施自体の意味について、確認しましょう。
原先生「もともと檀家さんとして葬儀してもらったり、お墓を管理してもらったり、法事などで読経していただいたりということで、そのお礼、気持ちがお布施なんですよね」
ということは、金額は明確に決まっていないということになります。
原先生「一般的な相場というのはよく言われますけど、あくまでも気持ちなので、目安というだけで決まりごとがあるわけではないですね」
金額が決まっていないだけに、いくら出すべきなのか迷うことになってしまっています。
原先生「実際、金額に決まりがないといっても、歴史的に例えば地域では5万円や3万円と決まってたり」
Aさんのケースに限らず、お寺の建て替えは結構な費用がかかるため、1人100万円以上というのは珍しくなく、近所の手前、お布施を納めるのを拒否できないという場合もあるようです。
原先生「一方でお墓を管理してもらっているという。払わないとお墓の管理が心配になるし、地域社会で住みづらくなっちゃうので、事実上払っているという感じですね」
檀家制度は続かなくなる?
ただ、地域のつながりが薄くなり、お寺から離れる家が増えてきている中で、檀家制度は現在も機能しているのでしょうか?
原先生「通用しなくなっていて、相談も増えてます。檀家を離脱するのはどうするのか、トラブルがあってお墓を移動させたいけど、使用料を払ってからでしか移動できないとか、いろいろトラブルは増えているんですね」
Aさんのお話に戻りますと、はっきりしたルールがないからこそ、高額を要求されても断りづらいという事情がありそうです。
原先生「お坊さんに対して言いにくいとは思うんですけど、やっぱり日頃の交流だと思うんですよね。
毎日とはいかないまでも、毎月何回か会ってお話を聞いたりお経を唱えてもらったり、それでお寺が傾いてるんですと言われたら、払おうかなという気になると思うんで。
そういう交流がないのに、いきなり100万、200万とか言われたら、それは払う方も気持ち悪いですし、そこのやり取りですよね」
今後お寺が運営していくためには
ただ、お布施をいったん払うと返還を要求するのは難しいようです。
原先生「贈与契約っていう契約類型なので、履行が終わったら取り消せないですから、渡したら終わりですね」
お布施のルールについて法律が介入するとなると、信教の自由が侵害されることになってしまいますので、難しい問題です。
原先生「一方でこういうトラブルが増えて檀家さんが離れれば、お寺さんの衰退に向かっていくので、日頃から檀家さんで情報を開示したり、寄り合いにちゃんと出て話をするということが大切なのかなと思いますね」
本当にこの金額のお布施は妥当なのかどうか、お寺の会計を開示してもらって無駄がないかチェックするなど、檀家さんみんなでお寺を運営していくという姿勢が大事、とまとめました。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2023年02月15日14時13分~抜粋