北野誠のズバリ

新型コロナウイルスを「5類」へ移行する決め手は何?

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけについて、岸田総理大臣は20日、原則として今年の春に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方向で検討を進めるよう、加藤厚生労働大臣らに指示しました。

1月21日放送の『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、新型コロナウイルスの5類への移行について、日本感染症学会理事で、愛知医科大学病院 感染症科教授の三鴨廣繁先生に話を伺いました。

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重症化率と致死率がインフルと同じ

新型コロナウイルスを現在の「2類相当」から「5類」へ移行する決め手としては、どういったことが考えられるのでしょうか?

三鴨先生によると、まずは「この3年間の間にコロナウイルスの特徴がわかったこと」、そして「重症者数がインフルエンザとほぼ同率になったこと」が挙げられるといいます。

80歳以上の高齢者の重症化率は、新型コロナの「1.69%」に対して、インフルエンザはやや高い「1.8~2%」と、ほぼ同じ数字。

重症化率と致死率がインフルエンザと同じ程度になったことから、5類以降の気運が盛り上がってきたというわけです。

もうひとつは「対策が3年間の間にほぼ確立されてきたということ」。三鴨先生は、これが最も大きい要因だと語ります。

新型コロナは予防薬がない

インフルエンザには「タミフル」や「イナビル」といった特効薬があり、インフルエンザを発症している患者の同居家族などには予防投与が認められる場合があります。

しかし、新型コロナにはそういった薬がまだありません。いわゆる「予防薬」としての薬がないということが、インフルエンザと新型コロナの大きな違いです。

「それなら『やっぱり5類にするのは危険じゃないか?』という意見があるのでは」という北野誠の意見に、「専門家の中にもそのようにお考えの方もお見えになります」と三鴨先生。

それでも対応をしっかり取れば、感染伝播はある程度は抑制できるだろうと考えられることも大きいといいます。

そして最も重要なのは、経済が大きなダメージを受けてしまった現状を、正常な世界に戻さなければならないということです。

マスクをしていれば人にうつさない

新型コロナは、たとえ隣の人が感染したとしても、その人がしっかりマスクを着用していれば人にうつすことはないということも明らかになってきました。

もちろん、新型コロナへの罹患が明らかになった場合は、休む必要があるのはいうまでもありません。

しかし、まだ感染が判明しないまま「なんとなく調子が悪い」という人がいても、マスクをしていれば人にうつすことはない、ということです。

こういったさまざまな側面から、「新型コロナを5類へ」という気運が高まってきたのです。

すべての病院で診察できる?

5類に移行した場合、法律の建前としては「すべての病院で診察する」ことになります。

しかし新型コロナの感染力はインフルエンザよりも強力なので、発熱や咳がある方と診療の時間を分けるという工夫が必要になると考えられます。

ワクチンも有料となりますが、自治体によっては全額とはいかずとも、一部補助が出る可能性もあると予想されているそうです。

一番気になる「マスク問題」ですが、「日本人は慎重な方が多く、新型コロナの怖さもご存じですから、屋内ではマスクされる方が多いのでは」と三鴨先生。

とはいえ屋外では、密集していなければマスクを外す方が増えてくるだろうと考えられるそうです。

新型コロナは「湿度」が重要

新型コロナは、インフルエンザと違って季節性がありません。

最近発表されたばかりの論文などの報告では、「湿度が低すぎても、高すぎても感染しやすい」ということがわかってきました。

このように、この3年間で新型コロナについての情報がかなりわかってきたことから、5類への移行が進められているというわけです。

最後に「三鴨先生はいつのタイミングでマスクを外すんですか?」とズバリ尋ねた北野。

この質問に対して「私は外で密集していなければマスクをしないと思います。だけど野球場やサッカー場は密集するので、外でもマスクをすると思います」と答えた三鴨先生でした。
(minto)
 
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2023年01月21日09時21分~抜粋

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