北野誠のズバリ

「〇〇ペイ」で給与支払いが可能に!デジタル給与のメリット・デメリットは?

今年4月から、労働者側の希望に応じて〇〇ペイなどの「給与のデジタル払い」が解禁となります。

1月16日放送の『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)「ズバリマネー相談室」のコーナーには、リスナーAさんから「デジタル給与のメリット・デメリット、注意すべきポイントを教えてほしい」という相談が寄せられました。

この疑問に、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー伊藤勝啓さんが回答しました。

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国がデジタル給与を後押しする理由

これまで給与は「通貨での支払い」が原則でしたが、QRコードを利用したキャッシュレス決済が広まっている時代に合わせて、デジタル化の動きが加速しています。

国がこのデジタル給与払いを後押しする理由は、以下の4点です。

・「新たな生活様式」に対応した規制改革推進の一環としての位置付け
・外国人労働者の受け入れ拡充に向けた施策の一環
・キャッシュレス決済の推進および、フィンテックを活用した金融サービス提供の拡大、国際競争力の強化
・厚生労働省の「資金移動業者の口座への賃金支払について」という調査で、約4割の利用者がデジタル払いを「検討する」と回答し、一定のニーズがあると判断

導入企業が注意すべき点

「国としては、あまりお金を刷りたくないんですよ」と北野誠。

「1円玉を作るのに1円以上かかったらおかしいやんっていうのは、国がもともと持っていて。できる限り電子マネーを。電子マネーの最後の砦が名古屋なんですけど」と、現金主義の名古屋人に対してチクリと刺すことも忘れません。

導入する企業には、対応すべきことが4点あります。

・中間連携のための事業会社の選定
・事業会社のシステムに対する出力用のデータ形式の要件決定
・既存給与システムにおける各従業員との連携用のキー情報の収集と登録
・既存給与システムからのコード決済・電子マネー用のデータ出力とシステムへの連携

各企業が直接コード決済や電子マネー運営業者と連携することは、現実的ではありません。

給与データからコード決済や電子マネー用のデータ変換と、各運営会社へのデータ連携をするための事業会社が参画して、システムを導入する必要があります。

企業側、従業員側のメリット

デジタル給与にはどんなメリットがあるのでしょうか。

まず、企業側としては「振込手数料」の負担を削減できるということがあります。

従業員に複数の口座への給与振り込みを認めている場合、メイン口座以外の口座への振込がデジタル化されれば、振込手数料の削減につながります。

また給与のデジタル払いを許可・促進するという企業の姿勢が、「社会の変化や多様性を理解して重視する」という企業のメッセージを内外に与える効果もあると考えられます。

結果として、採用面や従業員との関係性の観点でプラスの効果が期待できるというわけです。

従業員側のメリットとしては、銀行口座開設へのハードルが高い外国人労働者への給与の受け取り方法としての選択肢が広がること。

そして、キャッシュバックやポイント還元も大きなメリットです。

「運用面での二重化」がデメリット

企業側のデメリットとしては、「給与のデジタル払い」と「これまでの賃金払い」の二重運用の発生が考えられます。

「給与の一部をデジタルで支給してほしい」という従業員は多くても、「給与の全額をデジタル化してほしい」という従業員はわずかだと想定されます。

この場合、銀行口座とデジタル給与のキーといった、データの「二重管理」や、銀行振込データ、デジタル連携データの「二重出力」といった、「運用面での二重化」が進んでしまいます。

また、銀行振込であれば、銀行名・支店名・口座番号で認識ができますが、デジタル給与の場合はキー情報の収集や識別が困難です。その正当性をどのように担保するのか、という課題が残ります。

現金化と銀行振込の手間

「ペイで振り込まれても、現金化の対応が面倒くさくないですか?」と疑問をぶつける北野に、「銀行への振込や、現金にしたいというとき」と伊藤さん。

QRコード決済や電子マネーは普及してきてはいますが、公共料金の引き落としは未対応。そのため「現金化」と「銀行口座への振込」の手間がかかることが想定されます。

ただ給与のデジタル化に伴い、この点は改善されることも期待されています。

さらに、資金移動業者への振込は現在100万円が上限です。そのため、デジタル給与払いが利用できないケースも出てくると思われます。

北野「今はね、銀行口座、クレジットカード、電子マネーが連動してますけど。ペイ1本にはならんと思いますけどね。そこの紐づけをどうするかっていうのはあります」

新しく始まる「デジタル給与」。時間をかけて、じっくり改善をしながら進むことが想定されています。
(minto)
北野誠のズバリ
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2023年01月16日14時12分~抜粋

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