北野誠のズバリ

裁判の結果「同性婚」は認められたのか?

「同性同士の結婚が認められていないのは憲法違反」と、東京に住む同性カップルなどが国に賠償を求めた裁判について、11月30日に東京地裁が判断を下しました。

「同性パートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法に違反する状態」と指摘。

しかし、「法制度の構築は、立法の裁量に委ねられている」として、憲法違反ではないと結論づけ、原告の訴えを退けました。

「結局、同性婚は認められたのか認められないのか、どっちなの?」と言いたくなりますが、今後、同性婚の法整備に対し国はどう動くべきなのでしょうか?

12月3日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、角田龍平弁護士が「違憲状態」という判断について解説しました。

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違憲ではなく違憲「状態」って何?

同性婚が認められないことや、国政選挙で一票の格差が存在していること(例えば10万票の得票数を獲得しても、ある地域では当選してある地域では落選すること)について、「違憲状態ではあるが、違憲ではない」とよく言われます。

これはどのような意味なのでしょうか?

角田「よく『一票の格差』の問題でもこういう判決が出ることがあるんですけど、今の定数の定め方は違憲状態だけれども、それを是正するにはある程度の期間が必要だから、違憲ではないと判断するのと同じで。

同性婚を認めない今の民法・戸籍法は違憲状態だけれども、これからいろいろ議論をして立法せんとアカンから、『違憲』とは言えないという判断なんです」

ということは、今はダメでも実現に向けて動き出さなければならないということになります。

他の裁判での判決は?

ただ、このような裁判はすでに全国で行われていて、札幌地裁では「違憲ではあるが、国家賠償法上は違法ではない」と判断。

違法となるには「国会に立法義務があるのにしていない」ことが明らかにならなければなりませんが、まだ立法までに時間がかかるということで、違法ではないという判断がなされています。

また、大阪地裁では「合憲」と判断されていますが、これは東京地裁でも札幌地裁でも判断していない内容に踏み込んでいます。

判決理由としては憲法24条2項を挙げ、「配偶者の選択や婚姻及び家族に関する事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないという条項に違反している状態」と語っています。

角田「婚姻の本質とは何かということで、東京地裁は『親密な人と人が営む共同生活に、法的保護や社会的承認を与えるものだ』という言い方をしたんですよね。

大阪地裁が合憲と判断した理由と比較するとわかりやすいんですが、大阪地裁は『自然生殖で子孫を残す関係に保護を与える点』を重視したんです」

明治時代から基本は変わらず

ただ、この結果をそのまま読むと、事情があってこどもができない夫婦や、こどものいない生活を選択した夫婦には当てはまらないことになってしまいます。

角田「もともと戦前から民法があって、明治時代の旧憲法下の家父長制度を前提とするものやった。
改正はされたんですけど、いまだに家を守る制度やっていう考え方が色濃く残ってる」

民法は今の時代と合わない点があるとよく言われますが、同性婚も改正を検討する時期に来ているのではないでしょうか。

そのため、角田先生は大阪地裁よりも東京地裁の判断のほうが妥当ではないかと語りました。

また大阪地裁は合憲と判断した理由について、「各地でパートナーシップ制度が広がる中で、伝統的な価値と両立し得る可能性があり、整備に大きな障害はない」とも語っています。

ただ、この制度を実施している自治体は一部であり、「わざわざ別の制度を設けなくても良いのでは?」という気がしますが…。

角田先生は最後に、「少なくとも異性なら当然のように結婚できるのに、できなくて苦しんでいる人がいるのは間違いないので」と語り、国が法整備に向けて動くべきとまとめました。
(岡本)
 
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2022年12月03日10時52分~抜粋

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