身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)のコーナー「ズバリ法律相談室」。
10月26日の放送では、「息子が不倫をし、その後妻と仲直りをしたが、結局は離婚することに。さらに慰謝料まで請求された」とお嘆きのリスナーAさんからのおたよりを取り上げました。
この質問に、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が答えます。
何年経っても慰謝料請求はできる
「以前私の息子が不貞行為、つまり不倫をしました。奥さんは怒り、悲しんでいましたが、しばらく一緒に生活をして仲直りしたのか、まさかの2人目を授かりました。
しかしその生活も長くは続かず、結局再び不仲に。現在は離婚調停中です。ただ、嫁は不貞行為を理由に慰謝料を請求。さらに次男だけ引き取ると言ってきました。
こどもについては育児放棄気味で、結局私たちが面倒を見ています。こういった場合、不倫の慰謝料を請求するのは一般的に通る話なのでしょうか」(Aさん)
「『一度夫が浮気したあと、よりを戻し、こどもを授かった。で、また不仲になった』この場合、離婚理由を不倫として、慰謝料を請求できるんですか?」と尋ねる北野誠に、「できますね」と即答する原弁護士。
「不倫を1回してしまったということを理由にすることはできるので、何年経っていても慰謝料請求はできる」のだそう。
不倫したもん負け
北野「これは、一度不倫したもん負けっていうことですか?」
原弁護士「結局、離婚に至った慰謝料ですから。過去に不貞をしたことも、ひとつの要素だと言われちゃうと…」
北野「"仲直りエッチ"ってよく言うじゃないですか。あれはでも、憲法に定められてるんじゃないですか!?」
原弁護士「ケンカだったらまだわかるんですけど。不貞のことに関しては、奥さんから『やり直そうと思って努力したけど、結局ダメだった』って言われちゃうと、それはもうどうしようもないですね」
この原弁護士の見解に、「ああー」と声をそろえて納得する、北野と氏田朋子。
「『その元の理由はアンタやろ!』と」と、ドスのきいた声を出す氏田に、北野も引き気味です。
こどもの有無や人数と慰謝料の関係
一時的に仲直りをしても夫婦としての修復が難しいとなれば、やはり慰謝料の対象になってしまうようです。
氏田「でも、証拠がないとダメですよね。やっぱり。ずーっと置いておくってことですか」
妙にこの話題に前のめりな氏田。証拠はやはり必要とのことです。
一方、北野が気になるのは、2人目を授かっていなかった場合との請求額の違いについて。
これに「こどもが生まれたからというよりも、不貞をした後にどれだけ努力をしたかっていうのが重要」と原弁護士。
原弁護士「すごく努力をしていれば、仮にこどもを授かっていなくても『そこまで再建にむけて努力したんだから、慰謝料はそこまで高くない金額にしておきましょうね』っていう判断はあるでしょうし」
こどもの有無や人数は、慰謝料の金額とは直接関係がないようです。
この場合の慰謝料は、婚姻期間が長くても200万円。短ければ150万円近辺で、一般的に予想される金額よりも少ないといいます。
「ハメたら、ハメられる」
続いて「次男を引き取る」という妻の発言について。
「夫の不貞」と「親権者が誰か」ということは全く違う話。さらに長男を置いて次男だけを引き取るとなると「兄弟分離」の議論も発生するため、全く別次元の問題として考えなければいけない問題だそうです。
「不貞をしていたから親権者に向いていない」というわけでもありません。
夫と妻のどちらが「宿題を見てあげているか」「食事を作ってあげているか」「家事をしているか」ということがポイントになってきます。
裁判所の職員である「調査官」が、こどもの環境を調査し、どちらが良い教育環境であるかを判断するという流れ。調査官は家庭訪問をして、こどもとの関わりを見たり、学校の先生に聞き取りを行ったりするそうです。
まとめると、「慰謝料」と「親権」は全く別の問題。Aさんの息子さんが慰謝料を払うことは決定という話でした。
北野「高いね、代償がつくということでございまして。これこそ、みんなに言ってあげてるんですけど『ハメたら、ハメられる』ということで」
いつもの名(迷)言で、コーナーをズバッと締めた北野でした。
(minto)
北野誠のズバリ
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2022年10月26日14時12分~抜粋