北野誠のズバリ

会社員激怒!?国民年金の減額分を厚生年金で補填する年金改革

2004年(平成16年)に実施された年金制度改革では「100年安心」が掲げられました。
その結果、保険料が13年間に渡り毎年引き上げられ、年金支給額を自動減額される「マクロ経済スライド」が導入されました。

この改革は「平成の年金改革」と呼ばれていますが、今度は岸田政権が「令和の年金改革」を掲げました。本当に年金は大丈夫なのでしょうか?

10月22日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリサタデー』では、社会保険労務士の北村庄吾さんに「令和の年金改革」の問題点を解説していただきました。

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令和の改革の中身は?

まず、支給額に影響を与える「マクロ経済スライド」という方式ですが、これはどのような仕組みなのでしょうか?

以前は物価や賃金が上がるにつれて年金の支給額も上がる制度でしたが、この制度では支給額の上昇率を抑えています。

仮に物価が2%上がっても年金は1%しか上がらないため、額面では1%上がっても実際の家計負担は1%近く重くのしかかることになります。

これはお年寄りが増えてきているため、支給額を抑えようとする策です。
しかし、実際には3回しか発動していないため、抑えきれていないのが現状です。そのため、出る方を抑えるだけでなく、入る方を増やそうとしています。

現在は国民年金の納付期間は20~60歳になるまでの40年ですが、これを65歳になるまでに延長して45年にしようという動きがあります。

会社員が激怒?

そしてもう1つ、案として上がってきているのが、厚生年金を国民年金の穴埋めに使うということです。
基礎年金(国民年金)の給付を5万円台に維持するために、「マクロ経済スライド」を国民年金についてだけ早期に止め、その分を厚生年金の減額で穴埋めするというものです。

厚生年金は会社員と会社が負担しているお金で成り立っていますが、これを国民年金に使われると、会社員は納得できないのではないでしょうか?

北村さん「そうですね。自営業の人は国民年金、サラリーマンの人は厚生年金と、制度が分かれていたものを無理やりくっつけるのが問題なんですよね」

どうやら、現在の年金制度に根本的な問題があるようです。

北村さん「今の現役の人が引退世代の年金を賄う『世代間扶養』という仕組みなんですね。
現役の人が10人で引退の人が1人だと、現役の人が1万円ずつ出せば10万円、これに会社と国が出せば20万円ぐらいの年金になりますね。

これが将来的にはほぼ1人で1人なので、自分の親の面倒も見切れないのに、他人のことなんて見切れないですよね。
賦課方式っていう世代間扶養の仕組み自体がもう成り立たないです。抜本的な解決をしないとダメです」

抜本的な解決策は?

では、抜本的な解決とはどのような方法が考えられるのでしょうか?

北村さん「年金制度は『積み立て方式』で始まったと言われています。

いま円安がすごく進んでいるのも、日銀の低金利政策のせいなんですね。
仮に金利が6%ぐらい付くと、月々1万円ぐらい貯金していって40年で大体1,700万円ぐらいになるんですね。

1,700万というのは、国民年金が満額で年80万円とすると20年分なんですよ。
積み立て方式でも運用がうまくいけば問題ないんです。

この低金利というのが、年金制度や引いては退職金にも影響を及ぼしてるんですね。
会社は救われたかもしれないですけど、そこで働く人の年金と退職金はボロボロになったというのが、低金利政策のツケじゃないですかね」

日本が少子化というのは30年前から言われていました。
しかし、選挙でお年寄りの票が減ることを恐れた与党が、年金額を減らすなどの対策をまったく行ってきませんでした。これが今頃になって問題を大きくしているようです。

最後に「今から、もし何かをやって年金制度を改正できるとしたらどんな方法がありますか?」との北野誠の質問に、北村さんはこう回答しました。

「国民年金、厚生年金を一体化して昔あった最低保障年金というのを考えながら、個人としては確定拠出年金を利用して、税金を安く済ませるなどしかない」
(岡本)
 
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2022年10月22日09時43分~抜粋

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