北野誠のズバリ

これは罪になる?事故を目撃したのに通報せず、現場動画をSNSに投稿!

身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリ法律相談室」のコーナー。

10月5日の放送では、「車同士の事故を目撃し、動画を撮影をした」というAさんからのおたよりを取り上げました。

「110番通報をしなかった上に、撮影した動画をSNSにアップしようとしていた。もし通報もせず、動画をアップしていたら、何かの罪に問われますか?」と不安げなAさんに、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が答えます。

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「罪悪感でいっぱいです」

先日、近所で車同士のひどい接触事故を目撃したというAさん。
思わずスマホで動画撮影をしていると、運転手が「誰か110番をお願いします!」と叫びました。

それまで誰も110番通報をしていない状況だったと気づき、Aさんが慌てて通報をしたそうです。

「僕自身は動画撮影に夢中で、なんならSNSにアップしようというのんきな心構えでおりました。僕は23歳です。これは世代が関係しているのか、常に頭にはSNSが一番にあります。誰かが通報してくれていると思い込んでいたので、ものすごく反省しました。

仮に僕が通報もせず動画撮影をし続け、SNSにアップロードをしていたとしたら、何の罪に問われますか?罪悪感でいっぱいです」(Aさん)

目撃者に通報の義務はない?

原弁護士によると、通報する必要があるのは交通事故にかかわる当事者のみ。つまり運転者、被害者、同乗者で、目撃者には通報の義務はありません。

これは、たとえ当事者が通報できそうにない大きな事故の場合でも同じことだそうです。
とはいえ、目撃者が警察や救急車を呼ぶことは社会のルールではあります。

原弁護士「極限状態としてあるのは、例えば山の中の事故や海の上で船同士の衝突など、『自分が通報しなかったら結果が悪くなることがわかっている』とき。この場合は、民事上の損害賠償義務を問われる可能性はあります」

いずれにしても、通報しなかったからといって目撃者が刑事罰で立件されることはないそうです。

問題は「どう晒すか」

ケガをした人の顔写真をSNSに上げてしまった場合は、「プライバシー侵害」や「肖像権侵害」の可能性があります。
その人が有名人であればあるほど、慰謝料は変わってくるということです。

原弁護士「倒れて血が流れている事故の様子を映されたくないのは当然かなと思います」

動画撮影そのものに問題はありませんが、問題なのは「どう晒すか」ということ。

モザイク処理をせずアップした場合は、顔や名前が流出してしまうため、慰謝料が発生したり、差し止め請求を受けたりするという可能性があるというわけです。

加害者が被害者を訴える場合も

最近は「あおり運転」がテレビでたびたび取り上げられています。テレビでは基本的にモザイク処理をしていますが、SNSでは加工しない場合もあります。

原弁護士「『見つけてください!』と露骨にそのまま流す人もいます。あおられているから、という正当性はあるかもしれませんが、肖像権やプライバシー権の侵害の可能性はあると思います」

あおり運転の被害者が加害者のナンバープレートを晒した場合、加害者が被害者を訴えるというパターンもあり得ます。

原弁護士「ただ、あおり運転で自分が有罪になったら言いにくいというだけであって(笑)。それを晒すことは別問題だという主張は当然あると思います」

つまり「そこまで晒す必要があるのか」と議論になるというわけです。

警察も世論で動く?

では、あおり運転をSNSには上げたものの、警察に通報してなかった場合はどうなるのでしょうか。

この動画がバズった場合、警察は立件せざるを得なくなります。
つまり通報をしていなくても、状況によっては警察が動く場合があるということです。

原弁護士「道交法違反が明らかな動画で、騒ぎが大きくなったら当然捜査を開始すると思いますね。世論が怖いので。『何やってるんだ!』って当然言われるじゃないですか。それは動くと思いますね」

こういった動画の管理は、必要最小限にする必要があります。

原弁護士「やたらめったらにばら撒くものではなく、警察に出す、または相手に請求するために使うとかならわかるんですけど」

危険運転などの動画は警察に提出するべきで、SNSに上げる必要性はないということでした。
(minto)
 
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2022年10月05日14時12分~抜粋

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