北野誠のズバリ

困った時の公的補助、あらためて知っておきたい!

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小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャル・プランナーさんが回答しています。

8月1日の放送では伊藤勝啓さんが、知っておくと役に立つ日本の社会保障制度を解説しました。

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もしもの時のための公的保障

今回、番組が取り上げた相談は、次のとおりです。

「最近、体調が悪くなってしまった時の医療のことが気になっています。
特にコロナが重症化して日常生活に支障が出た時、例えば通常どおりに仕事ができなくなった時などの不安が増しました。

日本はいろいろと公的な保障が恵まれているとは聞いたことがありますが、主にどのような保障があるのでしょうか?

知識として知っておけば、個人で備えておくと良いことも整理ができそうなので教えてほしいです」(Aさん)

年金や医療制度で大なり小なり不満はあるかもしれませんが、日本の公的保障は世界でもかなり恵まれている部類に入ります。

伊藤さんは日本のおもな公的保障について、7つ挙げました。

その7つとは、遺族年金、健康保険、傷病手当金、障害年金、雇用保険、介護保険、老齢年金。

伊藤さんは大きく「誰でも頼れる保障」と「対象が限定される保障」の2つに分けられると語りました。

遺族年金の受給要件は?

7つのうち誰でも頼れるものの代表格が、遺族年金と健康保険です。

伊藤さん「遺族年金は、公的年金の加入者が亡くなった時に生計を共にしていた遺族の生活を支えるために支給される年金で、亡くなった人が国民年金加入者なら遺族基礎年金、厚生年金加入者なら遺族厚生年金も受給の対象者になってきますね。

なお、遺族基礎年金を受け取ることができるのは、こどもがいる配偶者とそのこどもですね。

また、支給額はこどもの数によって変わり、原則としてこどもが18歳を迎える年度末までが受給期間となっています。

あと、遺族厚生年金はこどもがいない配偶者でも受給ができて、支給額は本来支給される厚生年金の4分の3相当になります。

受給期間は対象者の年齢やこどもの有無によって変わってきますね」

健康保険の違い

あと、健康保険も誰もが入っているので、全員が対象です。

伊藤さん「会社員の場合は会社の保険組合とか協会健保ですね。
自営業者やフリーランスの場合は、国民健康保険に加入します。

例えば現在の制度では、69歳以下の場合には病気やケガの治療にかかる医療費の自己負担額は3割で済みます。

あわせて高額療養費制度もあり、1か月にかかる医療費が一定額を超えた場合には、その超えた分が支給される、つまり実質負担しなくても良くなるというものですね」

ただ、北野のような自営業の人間にとっては、やや不利な面もあります。

伊藤さん「ものにもよるんですけど、例えば傷病手当金を見ていきますと、これは健康保険に加入する会社員を前提に、病気やケガなどで仕事を休んだ際に生活を保障してくれる制度で、最長1年6か月にわたって給料の約6割が支給されるようになっています。

実はこの傷病手当金ですが、国民健康保険に加入している自営業者の方やフリーランスの方にはないんですね」

人によって障害年金の中身が違う?

また、何かあった時の対応が少し異なるというケースもあります。

伊藤さん「あと障害年金を見ていきますと、こちらは会社員だけではなく国民健康保険に加入している自営業者やフリーランスの方もあります。

会社員の場合は障害厚生年金、自営業者・フリーランスの場合は障害基礎年金を受け取ることができます。

ただ、障害基礎年金は障害等級が1級、2級までが対象になりますが、障害厚生年金はより症状の軽い3級も対象になるため、自営業者やフリーランスの方が保障面では少し薄くなってるということですね」

その他、雇用保険や介護保険はどのような制度になっているのでしょうか?

伊藤さん「雇用保険は企業の倒産やリストラなどで職を失った際の失業手当や、育児休業給付金、介護休業給付金を受給することができるものになっています。

会社員に限らず、アルバイトやパートでも要件を満たせば加入することができますが、自営業者やフリーランスの場合はこの恩恵が受けられないですね。

また、介護保険は会社員や自営業者に関わらず、健康保険加入者が40歳から保険料を納めて60歳から利用開始として、要介護などの認定を受けたらかかる費用の一部が支給されるようになっています。

手厚いサービスではありますが、要介護度が進むと公的な介護保障だけではまかなえないことが多いのが現状ですね」

高収入の会社員は要注意!

伊藤さんは最後に老齢年金について、解説しました。

伊藤さん「老齢年金はみなさん関心が高くて、他の公的保障に比べて知識が多いかもしれませんが、現在の制度では第1号被保険者である自営業者とかフリーランスの方は老齢基礎年金、第2号被保険者である会社員は老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金を65歳から受給できるというものになっています。

自営業者やフリーランスの方が手薄なのはよく知られてることなんですけど、年金を多く受給できるのはありがたいことですが、特に会社員で高収入の方は注意が必要なんですね。

公的年金は収入に応じた等級に従って、給与天引きで保険料を収めた実績に応じて受給できるものなんですけど、等級にも上限がありまして、平均年収でだいたい750万円ぐらいが上限の等級に該当すると推定されています。

例えば平均年収が1,500万円ぐらいの方がいらっしゃった場合、適用される等級は平均年収750万円ぐらいの方と同じぐらいになります。

年収の高い人は現役中に自由に使えるお金が多いという傾向にありますが、老後の収入源である年金はガクッと下がってしまうということですね。

言い換えれば、現役中に入ってきたお金をすべて使い切ってしまうような生活をしている人は、老後に入った時に大幅に生活水準を変えないと行き詰まってしまう可能性があるので、注意が必要ですね」

いま収入がかなり多いからといって、年金もかなり多いというわけではないので、収入の多い少ないに限らず、自分が受けられる公的保障を確認のうえ、備えは必要なようです。
(岡本)
 
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2022年08月01日14時13分~抜粋

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