北野誠のズバリ

角田信朗が語る、ファイトマネーに踊ったK-1黄金期の舞台裏

7月18日放送『北野誠のズバリ』のスペシャルゲストで登場したのは、空手家でK-1競技統括プロデューサーの角田信朗さん。

番組では3時間の放送を通して、極真空手を始めたきっかけやK-1の苦労話、リングスへの参戦などいろいろなお話を伺いました。

ここでは角田さんに90年代から2000年代にかけた格闘技イベントの黄金期について語っていただいた部分を紹介します。

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空手とキックボクシングは違う?

角田さんと長く親交のある北野ですが、前から聞きたかったのが空手とキックボクシングでは戦い方が違うのかということ。

その違いは「野球とソフトボールどころではない」と角田さんは語ります。

角田さん「要は顔面パンチがあるかないかで、距離が違います。

あとは顔面って、ちょっと鼻をかすっただけでキーンとなるわけじゃないですか。
あれがあるとどんな持ってる技も萎縮してしまうし、身体が動かなくなる。

まずそこから入っていかないといけないという意味で、まったく違う競技です」

角田さんはたまたまボクシングに興味があって、大学のボクシング部に出稽古に行っていたので、空手からK-1へシフトしやすかったそうです。

いくら強い選手でも怖いものが…

北野「K-1も途中から極真(カラテ)のすごい選手が出てきたりするけど、やっぱりちょっと違うねんなと思って」

角田さん「例えば(フランシスコ・)フィリオにしても、最初にポーンと勝っていったのは顔を殴られる怖さを知らへんから、最初によーいドンって相打ちに行って、それで力が強いから当たったら倒れるんですね。

ところがひとたびダウンを経験してしまうと、その瞬間からもらうのが怖くてディフェンス、ディフェンスで固め出したら、もう初心者のキックボクサーみたいになって、途端に面白くなくなる」

北野「フィリオなんかも空手時代の時の練習とか見てたら、とんでもないスタミナと身体を持ってるじゃないですか。それでもやっぱり顔面っていうのは違うねんね」

角田さん「逆に言うと、対戦する相手もボブ・サップは極端な例で、こんな戦い方する奴いないわけですよ。
野球で言えば、打っていきなり3塁に走るわけですよ。打ったら1塁でしょっていう戦い方を空手の選手もボブ・サップもしないんですよ。

そうするとみんな戸惑いますよね。戸惑うからもらってしまうんですよ。

だけど慣れたら『なんやコイツ』って、はねて終わりですもんね」

ボブ・サップへ試合中に注意

そのボブ・サップはK-1に出場し大人気となり、のちにテレビなどで引っ張りだことなりました。

角田さん「ボブ・サップは、メシを食わなあかんかったから最初のうちは必死でやってたけど、バーン売れてCMもらってお金がいっぱい入ってきたら、リングに上がる意味がなくなってくるわけですよ。

でもテレビ局が視聴率(狙い)でボブ・サップ(の対戦カード)を組む。ボブ・サップはやりたくない。(リングに)上がったらすぐ倒れよるわけですよ」

北野「早う終わらせたいから」

角田さん「僕はレフェリーの時は、それがわかってるからダウンカウント取らないんですよ(笑)。
スリップやいうて、立てと。
レイ・セフォーとやった時なんて、ボコボコにされてもダウン取らへんから、コーナーに戻ったら泣いてるんですよ。

レフェリーってインターバルの1分の間に、いろんなことを注意しに行ったりするんですけど、ボブ・サップの時は『泣くな』って注意したことがあります(笑)」

お金は先渡しだったからか、完全に戦うモチベーションはなかったそうです。

試合前日に注意したことは?

先渡しだったのは格闘技ブームにより引き抜きが多かったからではないか、と推測する角田さんですが、それでは試合自体になかなかやる気は出ません。

角田さん「格闘技界の10年、20年後を見越してる頭の良い奴って、ほとんどいてないんですよ。
みんなやっぱり国に帰ったらメシ食えへんやつばっかりやから、目の前に積まれたお金に食いついてしまう残念なところがありましたね。

だから、大会前日に競技統括として選手を集めて、(本来はルールの説明を行うが)ルールの説明なんてしないんですよ。

『ルールはわかってるでしょ、あなたたち一流選手なんだから』と。

そんなことよりも、テレビの中継入っててこんな試合やって、お金先もらって。
こんなんしてたら中継なくなるよ、仕事場なくなるよって。そんな話ばっかりしてました」

格闘技人気を盛り返すには

現状に対する危機感を話す角田さんに対し…。

角田さん「そしたら、アーネスト・ホーストがボーンって机を叩いて、『言ってる意味がよくわからない!』って、部屋を出て行ったんですよ。

『このボケ、お前の試合が1番面白くないねん!』と。勝って当たり前っていう(試合展開が面白くない)。

ジェロム・レ・バンナみたいに勝っても負けてもKOで行くみたいな選手が人気あるし、勝たないといけないけど難しいところですね。

でもやっぱりプロやから、お客さんにお金もらって、そこで人気が出ればもっと稼げるねんでっていうのが、(外国人選手と自分との考えの違いは)水と油ですね」

大みそかに紅白歌合戦の裏で格闘技のイベントが3局で放送されていたという、総合格闘技全盛時代。

角田さんは「あの時代を生きていたファイターたちは、僕を含めてみんな幸せだったと思いますね」と語りました。

そして、今が昔ほどの爆発的人気に至っていないのは、ヘビー級がメインに来ていないからではないかとも語りました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2022年07月18日15時06分~抜粋

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