北野誠のズバリ

魚を安心して食べたい!「アニサキス殺虫装置」ってどんなの?

寄生虫「アニサキス」による食中毒が相次いでいます。
厚生労働省によると、アニサキスで食中毒を起こした患者はここ数年で急増し、今年は5か月あまりで10年前の患者数を大きく上回っているということです。

6月25日放送の『北野誠のズバリサタデー』では、切り身に電気を瞬間的に流してアニサキスを殺虫する画期的な装置を開発した、株式会社ジャパンシーフーズの井上陽一社長からお話を伺いました。

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オキアミを食べる魚介類に寄生

アニサキスは海生生物に寄生する線虫の一種。

最終宿主であるクジラの中で産卵し、その卵が糞と共に海洋に放たれ、それをオキアミというプランクトンが食べ、第3期幼虫まで発育します。これを食べた中間宿主の海洋生物を人間が食べることで、人間にも寄生するというわけです。

アジ、サバ、イカ、ヒラメなど、オキアミを食べる魚介類にはすべて寄生していると考えられます。

アニサキスは体長1~3cmほど。半透明なので、水に濡れた状態で光の反射があると魚体の表面に付いていても見つけづらい場合があるそうです。

「アニサキスは魚介類の内臓に潜んでいて、その魚介類が死んだあとで筋肉の方へ来る」といわれていますが、中には釣った魚をすぐにさばいて食べたのにアニサキスの食中毒を起こしたという報告もあるため、一概には言えないようです。

高圧電流で殺虫!

「我々の会社の歴史は、アニサキスとの戦いの歴史」と井上社長。

最初は、風や水で飛ばす、洗濯機のようなものでかき混ぜ、洗浄も兼ねて表面を剥離するという物理的な方法でした。

10年以上前、先代社長が「アニサキスは紫外線で光る」ということを発見。これを利用して、アニサキスを光らせ、目視で発見しやすくして取り除くという作業を行っていました。

しかし、アニサキスが身の中に1mm以上深く潜ってしまうと発見は不可能になってしまいます。この方法は対応策としては不完全でした。

そこで考えられたのが「パルスパワー」という高圧電流を流す方法。これは、1マイクロ秒のごく短い照射を切り身に繰り返し、アニサキスを殺虫する仕組みです。

身が煮えては意味がない

直流電流でもアニサキスは死ぬものの、魚体温度が上がってしまうという問題があります。

「食べなあかんから。アニサキスを退治するための会社じゃないからね」と納得の北野誠に、「刺身で食べるためですので。温度が上がって身が煮えてしまっては意味がない」と井上社長。

パルスパワーは、冷水の中でごく短い時間だけ電気を流すため、「電気を流す」「冷やす」を繰り返している状態。このため、アニサキスが死んでも魚体の温度はほとんど上がらないというわけです。

2025年の完成を目指して

魚の味も、ほとんど生と比べて遜色がないんだそう。

一般的なアニサキスの対策として「マイナス20度で24時間以上冷凍する」という方法がありますが、「解凍品と比べれば一目瞭然で違いますね」と自信たっぷりに語る井上社長。

このアニサキス殺虫装置「パルスパワー」は、多数のメディアで紹介されたことから問い合わせもかなり増えているそうです。

とはいえ、この装置はまだプロトタイプ。正式販売の段階ではありません。

ジャパンシーフーズでは大量処理可能な次世代機の開発を継続中で、2025年の完成を目指しているというお話でした。
(minto)
 
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2022年06月25日09時42分~抜粋

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