北野誠のズバリ

「宇宙人はいない!」とは言い切れない理由

ウルトラマンは架空の星雲で生まれた、という設定のため宇宙人ということになりますが、実際に宇宙人や生物はいるのでしょうか。

6月11日放送『北野誠のズバリサタデー』では、『ウルトラマンと学ぶ宇宙と生命体』(講談社)の著者で、筑波大学計算科学研究センター研究員の高水裕一先生にお話を伺いました。

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宇宙に生物はいる?

この本では1966年の初代ウルトラマンから最新作トリガーまで、ウルトラシリーズのエピソードを絡めながら、わかりやすく宇宙の仕組みや生命の謎について説明しています。

まずは冒頭の疑問「地球以外に生物はいるのか?」について尋ねてみました。

高水先生「あると思いますね、それは。地球だけ生命がいるというのはむしろ不自然なので、宇宙のいろんなところで条件が揃いさえすればできます」

星が無数にある銀河。地球人のような生物がいることもあり得るということでしょうか?

高水先生「あり得ますし、例えば今はもう観測で太陽系以外のところの惑星で、かつ水を持ってそうな候補というのも数十個ほど見つかってるんです。

水があればたぶん微生物とか間違いなくいると思いますし、そういう意味で微生物というのは全然あり得ますね」

生物が棲むための条件は?

では、生物が棲息するのに必要な条件はどのようなものがあるのでしょうか。

高水先生「地球人はまず地球のベースしか知らないので、地球のことを考えますとまず海が必要だろうと。

まったく静かな環境だと難しいので、何か地殻変動とか火山の活動が必要な条件かもしれませんね」

ただ、宇宙人がいない根拠としてよくいわれるのが、「地球以外では水や酸素がないため、生物はいない」ということですが、やはり地球以外では生物の誕生は難しいのでしょうか。

高水先生「それも大気がすごく大事なんですけど、そもそも地球の場合、酸素がメインの生命体になっているのは結構理由がありまして。

もともと植物系のものが大繁栄したために、大気が酸素化されちゃったんですね。

そこで生き抜くために、仕方なく酸素が使える生物を進化させた結果が今の私たちなので、実は宇宙全体で見ると必ずしも酸素の大気だから生命、というわけではないと思いますね。

むしろ一番標準的なのは窒素なので、例えば窒素を最初から使う生命体がいても全然おかしくなくて」

酸素がなくても生きられる?

現在、私たちの周りにある大気の80%弱が窒素、20%近くが酸素を占めていますが、酸素がなくても生きていける生物がいるかもしれません。

高水先生「もともと細胞内のミトコンドリアは、細菌レベルで単独では酸素がないところでは生きていけないんですね。

でも共生して家みたいなのを作って、この中だったら生きられるっていう状態を作って進化したのが、ミトコンドリアとか葉緑体みたいな形なので。

小さいのがどんどん共生した結果、私たちみたいな生命体になって酸素に耐えられるようになってできてるので、逆転の発想はありますね」

宇宙人が地球に来る可能性は?

これまでのお話を伺うと宇宙人がいる可能性が高まってきましたが、それならウルトラマンのように地球へやってくることがあるのでしょうか。

高水先生「そこはまた別問題で、それぞれの星との距離があまりにも離れすぎているので、光の速度でさえ数十年とかかかってしまうと。

光の速度で飛ばすということは、基本的には情報しか伝達できなくて。

例えばメールのやり取りで『元気?』って送って10年かかって、『元気だよ』って返ってくるのがトータル20年かかると、もう歳取っちゃってるかもしれない」

10年でもまだ近い方で、光の速さで数百年、数千年かかる距離が普通であるため、重さのある生物がたどり着くのにはとてつもない年数がかかるようです。

大人が読んでも難しい

高水先生の著書『ウルトラマンと学ぶー』では、実際に円谷プロダクションの協力を得てウルトラマンなどの写真を載せつつ、小学校高学年以上をターゲットに書かれた本。

ただ、結構大人から見ても難しいことが書かれているのですが、それには高水先生の思いが込められているそうです。

高水先生「理系に興味がない子でも会話形式で読めるんですが、実は結構難しいところまで書いてあるんですね。

たぶん大人でも着いていけないレベルまで書いてあるんですけど、僕が望んでるのは『こんなわからないことがあるんだ、ここまでわかってる、この先全然まだわからない、わからないことだらけだ』というのをちゃんと提示したくて。

何かこどもだましで『こうやったらわかります』とか、数式なしで『こうやったら簡単にできます』みたいな本は作りたくなくて。

何度でも挑ませたい、何度でもそこに立ち返って知りたいと思わせる高い山を作りたかったので。

最初から順番に読むんじゃなくて、興味のある章だけ読んでいただければ。

それぞれの章にそれぞれの怪獣とか先生が出てきて、それぞれストーリー立てになっているので、各章ごとに山を登っていただければ。

最後にそこを見れば、だいたい登山をするとこういう景色が見えますよ、というまとめがあるんです。
そこを見てからまた登山をするというのもアリかもしれません」

興味のあるところだけ1度読んでみて理解できなくても、何年か経ってからまた読むとまた新たな発見があるかもしれません。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2022年06月11日10時30分~抜粋

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