北野誠のズバリ

家を売る時には要注意!意外とかかる税金の数々

転勤などでやむを得ず持ち家を売る場合、不動産業者に支払う手数料だけではなく、実はさまざまな種類の税金がかかるそうです。

5月2日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリマネー相談室」では、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャル・プランナー伊藤勝啓さんが、家の売却で課せられる税金について解説しました。

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いろいろな所にかかる消費税

家を売る際、新しい買主と売買契約を結ぶことになりますが、この時にかかるのが印紙税。

売買契約書に売主・買主がともに署名・捺印し、収入印紙を貼って割印をすると納税したものとみなされるのですが、収入印紙の金額は売買代金によって決まります。

例えば、売買代金が1千万~5千万円の場合は2万円、5千万円~1億円の場合は6万円ですが、2024年3月31日までに作成された契約書については、軽減措置により売買代金が1億円以下の場合は半額となります。

また、売却に関してはさまざまな手数料を支払うことになりますが、それに対しても消費税がかかります。

例えば不動産会社に支払う仲介手数料や、住宅ローンが残っている場合は金融機関に支払う全額繰上返済手数料、司法書士へ支払う抵当権抹消登記費用などがあります。

仲介手数料の上限は「売却価格×3%+6万円」ですので、例えば、売却価格が3千万円の場合は上限は96万円ですが、これに消費税の9万6千円が加算されることになります。

積み重ねていくと、結構な金額になりそうですね。

最も重いのが所得税

そうして売却の手続きを終え、まとまったお金が手元に入ってきた後には、もれなく所得税や住民税がやってきます。

所得の種類としては「譲渡所得」というものになります。
譲渡価格から取得費・譲渡費用と特別控除額を引くと、課税譲渡所得金額というものが算出され、これに所定の税率を掛けたものが税額となります。

…といっても、それぞれの用語がよくわからないので、さらに解説いただきました。

伊藤さん「譲渡価格というのは、売却によって得られる収入金額のことになりますね。

この中には固定資産税の清算金というものも含まれるんですけど、固定資産税は毎年1月1日時点の所有者が支払うものになってますが、売却日以降に関しては買主が所有することになるので、期間等に応じて日割り等で清算する金額ですね。

取得費は不動産を取得する際にかかった費用のことで、例えば購入代金ですとか建築代金、仲介手数料、税金、登記費用、設備費、リフォーム費用などが挙げられますね。

ただこういった費用が不明な場合もあると思いますので、その際は譲渡価格の5%として計上することもできます。

あと、譲渡費用というものは、売却する時にかかる費用で、仲介手数料、印紙税、建物を取り壊した場合はその費用が含まれます。

ただし、修繕費や固定資産税など、維持管理のためにかかった費用は対象になってこないです」

所得税がかからないケースも

家を買った時、売る時にかかった費用については、税金の対象から外れるとのことですが、さらに税金の対象となる金額が下がる特別控除額とは、何でしょうか。

伊藤さん「居住用の財産を売却した時は、譲渡所得から最高3千万円まで控除できるという特例があるんですね。

譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額が3千万円以下であれば、特別控除額のおかげで税金がかからないということになってくるんですね」

では、3千万円を上回った場合は、どれぐらいの税金がかかるのでしょうか。

伊藤さん「不動産を売却した時の譲渡所得に対する税金は、給与所得や事業所得などとは切り離して計算する分離課税で、税率は長期譲渡所得か短期譲渡所得かによって違ってくるんですね。

売却した不動産の所有期間が、その年の1月1日時点で5年を超えていれば長期譲渡所得で20.315%、5年以下なら短期譲渡所得で39.63%となります。

長期譲渡所得の20.315%の内訳は所得税が15%、復興特別所得税が0.315%、住民税が5%になっています。

短期譲渡所得の内訳としては、所得税が30%、復興特別所得税が0.63%、住民税が9%となってますね」

家を長く持っていると、税金が安くなるということですね。

税が軽減される制度が他にも

これらに加え、さらに税金が軽減される制度があるそうです。

伊藤さん「売却した居住用の不動産がその年の1月1日時点で10年超の場合は、軽減税率の適用がありますね。

先程の3千万円の控除の特例を適用した後に、課税長期譲渡所得金額というものに対し、税率が6千万円までの部分に対しては、14.21%となります。

14.21%の内訳は、所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%です。

そのほかに、マイホームを売却した前年から翌年までの3年以内に買い替えをした場合には、譲渡価格が1億円以下、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超、居住期間が10年超などの一定要件に該当する場合には、譲渡益に対する課税を繰り延べるという特例がありますね」

損をすると税金が安くなる?

では、逆に売却して損となった場合、何かフォローはあるのでしょうか。

伊藤さん「売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は、給与所得や事業所得など、所定の他の所得と損益通算というものができますね。

もしその年に損益通算し切れない譲渡損失がある場合は、翌年以降3年以内であればその損失を繰り越して損益通算ができるようになってるんですね。

ただここで、合計所得が3千万円を超えないことが条件になってきます。

ここでは詳細を省くんですけど、マイホームを買い換える場合とそうでない場合で譲渡損失額の扱いに違いがあるため、注意が必要になってきますね」

一生のうちに何回も家を買うことはない人がほとんどだと思われますので、あとから後悔のないよう、これらの制度をしっかりと調べた上で、手続きをする必要がありそうです。
(岡本)
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2022年05月02日14時11分~抜粋

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