北野誠のズバリ

夢を追いかけた結果「無職」の夫…離婚の原因にできる?

『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」コーナーでは、リスナーから届いた法律に関する疑問や相談に対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しています。

4月13日の放送では、「夫が無職という状態は、離婚の原因になり得るのか?」という質問や、最近聞かれるようになった「経済的DV」の定義について原先生が解説しました。

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経済的DVとは?

今回、番組で取り上げた質問は次のとおりです。

「ひさびさに大学時代の友人に会ったのですが、彼女の夫が売れないミュージシャンをしていました。

しかし、最近ミュージシャンの活動も辞めてしまい、ほとんど無職になってしまいました。

彼女にはこどもがおり、経済的に何も協力していないこの状況、経済的なDVには当たらないのでしょうか」(Aさん)

Aさんの友人が離婚したいのかどうかはわかりませんが、もし専業主夫でもなく、まったく何もしていない状態であれば、家から叩き出したいぐらいです。

…という個人的な意見はさておき、最近よく聞く「経済的DV」とはどのような言動を指すのでしょうか。

原先生「物理的な暴力を伴うDVに匹敵するように、故意に経済的に追い詰めると。
簡単に言うと、稼ぎがあるのに1つ1つチェックをする。
例えば、レシートを持ってこないと精算しないというのを徹底的にやると。

ある程度家計の管理をやるのは良いんですけど、他人から見ると異常な…例えば消しゴム1つ買うにも全部同意が必要な状態に追い込むことですね」

度を超えた金銭的な束縛、お金を使う裁量がまったくない状態を指すようです。
 

夫婦どちらかが稼ぐ義務はある?

そうしますと、Aさんの友人のケースは経済的DVには当てはまらないように見えますが……。

原先生「経済的DVは、経済的にある程度余裕があるのにそうするっていうのが大前提なので。

今回みたいに売れないミュージシャンをしてましたっていうのは、経済的DVというより収入がないだけなので。

わざとはやってないと思うんですね。頑張ってはいるけど、経済的利益が伴わないっていう」

ただ、こどもがいる状況で、働けない理由がないのに働かず、専業主夫でもないという状況は、親の義務を果たしていないという点で何か法律的に問題などはないのでしょうか?

原先生「家族は相互扶助の義務があるので、そこは義務があるっていうことはあるんですけど、強制するものではないですから、『アルバイトして来いよ』とは言えても、してこないと罰金があるとか、そういうことではない」
 

離婚理由は要チェック!

では、妻の方がその状況に嫌気がさして離婚したいと思った場合、「夫が働いてくれない」と訴えて離婚することは当然できると思いきや、意外な落とし穴があるようです。

原先生「今回の方のようにただ収入がないということになると、それだけで離婚理由になるのは難しい。

それに伴ってケンカが起きたとか、言い争いが増えたとか、精神的に(夫婦生活を)継続するのは耐えられないとか、話が変わるんですけど、収入が低いことではなくて、その結果生じた事実の内容を組み立てて、離婚原因にするということになりますね」

「夫の収入が少なすぎる」というストレートな理由だけでは、離婚原因としては採用してくれないようです。

離婚原因には「性格の不一致」や「性の不一致」などはありますが、収入が少ない事実からそちらの方に話を持っていく必要がありそうです。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2022年04月13日14時11分~抜粋

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