北野誠のズバリ

話題!本当にあった怖い話を1話100円で買い取る「怪談売買所」

寂れてシャッター街となった兵庫県尼崎市の商店街の一角で、客が見聞きした怖い話を1話100円でやりとりする「怪談売買所」が開かれています。

この怪談売買所は、怪談作家の宇津呂鹿太郎さんが「地域再生の手伝いになれば」と10年前に始めた企画。これまでに買い取った怪談は、およそ600話にのぼるそうです。

2月26日放送の『北野誠のズバリサタデー』では、この「怪談売買所」について、NPO法人宇津呂怪談事務所代表の宇津呂鹿太郎さんからお話を伺いました。

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600話を買い取り済み

この「怪談売買所」は、阪神尼崎駅からほど近い市場の空き店舗で、月に2日間開催しています。お客さんから怪談話を聞いて、宇津呂さんが1話につき100円を払うシステムです。

怪談作家でもある宇津呂さんは、実際にあった怖い体験談や不思議な体験談を集めて、それを本にしたり、怪談ライブで語ったりしています。

題材は創作ではなく、あくまでも実話。実際の体験談を聞くために、こういった売買所を開くようになったそうです。

当初は「全然集まらないだろう」と思っていたものの、市場の方の呼び込みもあり、初回から8組の方が来られたといいます。

「結構おもしろい話が集まって『これはいいや!』と味をしめまして。それから定期的にやらせてもらうようになったんです」と宇津呂さん。

この「怪談売買所」でこれまでに宇津呂さんが買い取った怪談は、大小合わせて600話ほど。すべてがライブで語れるほどのものではないといいますが、なかなかの数字です。
 

きっかけは「怪談コンテスト」

宇津呂さんは現在49歳。小さい頃から怪談話が好きで、稲川淳二さん、新倉イワオさん、中岡俊哉さんの怪談話はすべて観ていたそうです。

「それを生業にしようと思ったのはいつなんですか?」と尋ねる北野誠に、「こんなのが生業になるとは全然思ってなかった」と宇津呂さん。

きっかけは、今から13~14年前に開催されたネット上の怪談コンテスト。

当時は会社員だったため、仕事が忙しく参加できませんでしたが、翌年の開催もあると聞きつけた宇津呂さんは「これはもう仕事なんかやってられへんわ!」と退職。

その大会は「3か月間でどれだけの話を投稿できたか」がかなり重要だったため、「そこに全部注力しまして。話を聞いて送って、また聞いて送って」と宇津呂さん。

宇津呂さんはこの大会で6位となり、怪談作家としてデビューを果たしました。
 

人生と人生を比べるのはおかしい

宇津呂さんは今流行りの怪談コンテストには出演していません。
1回だけ出演したことがあったものの、「これはちょっと自分がやろうとしてることと違うな」と感じたそうです。

「僕が集めているのは、実際に誰かが体験したお話。その方の人生の一部分を切り取ったものをお預かりして、それを本に書かせてもらったりとか、ライブで語らせてもらったりしている」と宇津呂さん。

怪談コンテストは賞レースで、話を競い合う場。「そこに持ち出すのは、『この人の話は怖いけど、この人のはイマイチだからあかんな』みたいに、人生と人生と比べてるみたい」

宇津呂さんはここに違和感を感じ、以降こういったコンテストに参加することはなくなったそうです。
 

社会や人に役立つ怪談

北野から「怪談の魅力」について尋ねられ、「過去に起きた出来事であったり、過去にそこに住んでいた人の物語を次の世代や他の人たちに伝えていくためのツールとして、非常に有効なんじゃないかと感じる」と宇津呂さん。

例えば大きな地震があった場合。その地震の記憶や記録は時と共に風化してしまうものの、怪談は物語なので次世代に伝えやすくなるといいます。

「『ここには幽霊がでるんだよ』って言われると、こどもや若い子も興味がわく。『なんでここに幽霊が出るの?』ってなった時に、『ここは昔大きな地震があって、大勢の人が亡くなったからなんだよ』と。そこで初めて、過去にあったことを知るきっかけになる」と宇津呂さん。

そこで「地震は怖い」という気持ちが生まれ、「防災意識」に繋がっていくそうです。

「良くないもの、下世話なもの」と言われている怪談が、実は社会や人に対して役立つものであるということが、怪談の魅力だと語ってくれました。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2022年02月26日09時43分~抜粋

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