北野誠のズバリ

職務質問された時、どのような態度を取るのが正解?

道を歩いていて、いきなり警察官から声をかけられると、何も悪いことをしていなくても、ドキッとしますよね。

『北野誠のズバリサタデー』で、話題の本の著者にインタビューするコーナー、「ズバリこの人に聞きたい」。

2月5日の放送では、『職務質問』(新潮新書)の著者で元警察官僚、作家の古野まほろさんに北野が電話でインタビューしました。

[この番組の画像一覧を見る]

職務質問の目的

『職務質問』では、職務質問にはどのような法的根拠があるのか、警察官はどこを見て不審者と判断するのかについて、古野さんが解説しています。

まずは職務質問の目的について伺いました。

古野さん「固いことをいうと、警察の責務が法律で決まってまして、それを達成するためっていう話になるんですけれども。

イメージ的にいえば、地域社会において地域住民のためになる犯罪検挙をすること、これが大きな効用なんじゃないかと私は思いますね」

警察官の方々が街中にいるだけで、犯罪の抑止効果になります。
 

職務質問ができる根拠は?

では、どのような場合に職務質問をされるのでしょうか。

古野さん「これも法律的な話をすると、だいたい対象は2つのカテゴリに分かれまして、1つはいわゆる不審者と呼ばれる方々。

もう1つは参考人的立場の方ということで、前者は犯罪をやってるなっていう感じの方か、やりそうな方。
参考人は犯罪者について一定の情報をご存知の方という形になります」

「これは怪しいのではないか」という判断は、警察官個人の感情に委ねられるのでしょうか。

古野さん「何が怪しいのかっていうのは、警職法(警察官職務執行法)の2条に細かく規定されていまして、異常な挙動がある、それから周囲の事情から考えて浮いているという感じで、この要件に該当した人が不審者だということが条文上決まってるんですね。

この法律ができて70年も経っていて、条文だとよくわからないのですが、その間に無数の職務質問が行なわれて、無数の裁判に発展した事案もある中で、こういう基準でなきゃダメだよと、こういうふうに警察官は考えなきゃダメだよと裁判所が判例を出してる分があって、それが大きな縛りになっているところもあります」

職務質問により指名手配犯が逮捕できたり、あるいは犯罪が発覚したりするケースもありますので、当然効果はあるわけです。
 

職務質問は断れる?

警察官は質問をする権利がありますが、もし「時間がないので答えられない」と答えられたら、どうなるのでしょうか。

古野さん「実務上、具体的な場合に応じてさまざまだと思いますけれども、警察官がいったん不審者だと、犯罪の嫌疑があると認めて声をかけたからには、急いでるからと言われてもなかなか引っ込むわけにはいかないので、『短い時間でもいいですから、どうか答えてください、お願いします』という形になると思います。

逆に急いでいる理由が奥さんのお産だとか、こどもさんが交通事故に遭われたとか、常識的に考えて本当に急いでるなという場合は、打ち切りになる場合もあると思います」

理由があってしっかりと真摯に答えれば、そもそも不審な人間とは思われないでしょうから、問題はないようです。

そこを「任意ですか?」などと答えると、変にこじらせることにもなりかねません。

古野さん「こういう言い方が良いのかどうかわかりませんが、いきなりケンカを売ってこられると、警察官の方も構えると。
『拒否するからには、どうしても話を聞かないと』と、戦闘モードに入ってしまうというか」

警察官は落ち着いて話を聞くのが基本ですが、警察官と市民といってもお互い人間ですので、通常のコミュニケーションと同じということです。
 

職務質問の内容は録音しても良い?

今やスマホを持ち歩くのは当たり前で、いつでも録画・録音が可能ですが、職務質問の内容を録音しても良いのでしょうか。

古野さん「もちろん禁ずる法令はないので、実際に『ここから録らせていただきます』っていう風にやるのは、警察官の肖像権の問題を除けば、自由な権利なんですけれども。

これもやっぱり人間と人間のコミュニケーションなので、例えば市役所に行って、『ちょっとアンタの対応が不信だから、最初から録音させていただきます』っていうと、市役所の人も『何じゃそれ』って思いますよね。

そういう常識論で考えて、警察官に違法なことをされた、されそうだという場合に、市民が自衛のために録音・録画するのは正しいと思いますけれども、コミュニケーションの入口から『じゃあ録りますよ』となると、さっきの完全拒否みたいな形で、警察官も心理的な障壁を感じますね」

最後に私たち市民が職務質問をされた時、取るべき態度について、古野さんは「後ろ暗いことがなければ、あるいは奥さんのお産等で急ぎの事情がなければ、できれば立ち止まってあげて、円満なコミュニケーションを図っていただくのが、両者のためになるかなというふうに私は思いますね」と答えました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2022年02月05日10時29分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報