北野誠のズバリ

夜勤の人が生殖器官のがんになりやすい理由

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。2月4日の放送には、トラックドライバーのAさん(54歳男性)からおたよりが寄せられました。

普段は夜勤で、週1日の休みの日だけ夜寝ることを楽しみにしているというAさんですが、「休みの日も夜型のままの方がいい?」とお悩みです。

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、Aさんにアドバイスを送りました。

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乳がん、子宮内膜がん

吉田先生によると、夜勤の人は一部のがんの発症率があがることがわかっているそうです。

アメリカで大規模に行われた研究では、20年以上夜勤を経験した女性の看護師は、乳がんを発症する割合が1.8倍に。航空会社の客室乗務員の女性は1.5倍になるという数字が出ています。

この研究を受けて、デンマーク政府は20年以上夜間勤務をして乳がんになった女性には、労災を認定して保証することに決めました。

子宮内膜がんも1.47倍というデータも出ています。
 

体内時計の乱れは性ホルモンの乱れ

男性の場合、夜勤で前立腺がんの発症率が2.3倍というデータがあります。つまり、男女とも夜勤で「生殖器官のがんが増える」ということです。

乳がん・子宮内膜がん、前立腺がんはすべて、性ホルモンの分泌が乱れると増えるがんです。

性ホルモンのコントロールセンターは脳の視床下部にありますが、同じところに体内時計の中枢もあり、ここで1日のリズムをコントロールしています。本来寝ている時間に活動をすると体内時計が乱れて、性ホルモンの分泌も乱れてしまうのです。

これが積み重なることで、男女ともに生殖器のがんが増えるというわけです。
 

夜勤と日勤の繰り返しは危険!

週に1回夜に寝ることにしているというAさんに、「余計に前立腺がんを増やしてしまうので、まったく良くない」と断言する吉田先生。

1週間に1日だけ生活リズムを変えると、体内時計が大幅に乱れてしまいます。

夜勤の人は2.3倍ですが、夜勤と日勤を繰り返している人の場合、前立腺がんの発症率は3倍に跳ね上がってしまうのです。

小刻みに変わるシフトが体内時計に最も影響を及ぼすため、今週は日勤、来週は夜勤と1週間交代でシフトするのがベスト。

アメリカの病院では、看護師のシフトを1週間単位に切り替えるところが増えているそうです。
 

日光を浴びないとがんが増える

「夜間勤務の場合は、日光を浴びる時間がかなり少ないじゃないですか。これも影響するんですか?」と尋ねる北野誠に、「この影響も大きいんですよね」と吉田先生。

発がん率を地球規模でみた研究では、赤道に近づくほど発がん率が低く、北極や南極に近づくと発がん率が高くなるというデータが出ています。

つまり、日光を浴びる時間が少なくなるとがんが増えるということです。

「本物の太陽の光が一番いいけどね、照明器具を使って、起きている時間は部屋を思いっきり明るくしたほうがまだいいですね」と吉田先生。
 

ビタミンDで健康を保つ

吉田先生のおすすめは、ビタミンDを摂取すること。太陽の光にあたると、皮膚にビタミンDが合成されます。これががんを防ぐなど、健康を保つのに役立つということです。

吉田先生「夜勤の人は皮膚で合成されるのが減る分、食べもので補う必要があるんですね」

ビタミンDが豊富な食べものは、サケ、カツオ、イワシなど。また、シイタケやエノキなどのキノコ類も積極的に食べてほしいということでした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2022年02月04日14時12分~抜粋

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