北野誠のズバリ

名古屋弁「まるっと」を使う地域を伝説の「アホ・バカ分布図」的に考察!

1月19日放送の『北野誠のズバリ』では『中日スポーツ』の記事から、「まるっと」という言葉を取り上げました。

番組名やCMのフレーズとして全国的に使われていますが、「『まるっと』は名古屋弁である」という文献や証言が複数存在しています。

しかし、名古屋から一定距離離れた地域でも昔から使われていたところがあるようです。この事実について北野誠が、伝説の「アホ・バカ分布図」を例に考察しました。

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共通語になりかけている言葉

「知ってました?」と尋ねる北野に、「いや、標準語だと思ってました。みんな使ってると思ってました」と笑う大橋麻美子。

まさに「方言あるある」です。

まるっとという言葉は、TBS系の情報番組『まるっと!サタデー』や、NHK名古屋制作のローカル情報番組『まるっと!』など、番組名にも使われています。
CBCラジオでも1990年代に『マラソンRadio 多田しげおのまるっと土曜日』という番組がありました。

マルホン胡麻油のCMでは「まるっと、本物~」と、ホンダの定額購入プラン「楽まる」でも「まるっとコミコミ」と使われています。

この「まるっと」、正しくは「まるごと」。つまり「全部コミコミ」という意味です。

国立国語研究所の朝日祥之准教授によると、「標準語ではなく、方言から来ている」とのこと。ただ、全国的に流通するようになったので、今は日本全国で共通語になりかけているそうです。

『広辞苑』(岩波書店)を見ても、まだ「まるっと」は載っていません。しかし言葉は変化するもの。このまま定着した場合、いずれ掲載される可能性もあります。
 

きっかけは仲間由紀恵さん?

「まるっと」は、1932年発行の『尾張の方言 続編』、そして1972年の『ナゴヤベンじてん』で取り上げられています。

『岐阜弁笑景スペシャル・パート2』では岐阜弁として扱われていることから、愛知・岐阜の方言であることは間違いないということです。

いち名古屋弁が急に全国に広まった理由に、2000年に放送されたドラマ『TRICK(トリック)』(テレビ朝日系)が考えられています。

仲間由紀恵さん演じる主人公のマジシャン・山田奈緒子が放つ決めゼリフは「おまえのやったことは全てお見通しだ!」ですが、これが2002年の『TRICK2』第3話で「まるっとお見通しだ!」に変化したのです。

その後、関連書籍『超天才マジシャン・山田奈緒子の全部まるっとお見通しだ!』(ワニブックス)も出版され、「まるっと」が広く認知されるようになりました。
 

地方では「まると」

ドラマを演出した映画監督の堤幸彦さんは、三重県生まれの名古屋市育ち。

「名古屋におられる頃に使ってた、耳なじみのある言葉やったんでしょう。『まるっとお見通しだ!』っていうセリフを作った時も、何ひとつ自分の中で違和感なかったんだと思いますよ」と分析する北野。

続けて、「五感や雰囲気が柔らかいし、『全部』とか『丸ごと』よりもあたりがやわらかい感じがする」と、「まるっと」のイメージについて語ります。

しかし、『日本国語大辞典』(小学館)では、「まると」を含めた方言として分類し、岩手、宮城、山形、福島、山口、高知、長崎、宮崎で使われていると解説しています。
 

同心円状に同じ言葉が存在する理由

この事実に、「これはほんまにナイトスクープでやった『アホ・バカ分布図』とほんと同じやなぁ」と感心する北野。

以前北野は『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)で、日本列島における「アホとバカの境界線」を探る企画を担当していました。

「アホ、バカ、タワケ。京都を中心にコンパスで円を描くと、その同心円上の北と東と西に同じ言葉が存在する」

これについては、京都の商人がそれぞれ同心円状に動き、それらの場所で伝えたためであるという結論が出ています。

北野は、「まるっとも名古屋から同心円状に広がったと考えると、岩手、宮城とか、山口、高知、長崎くらいが入る」と、「まると」が広い地域で使われている理由について考察しました。

全く意味の想像が付かない方言とは違い、聞いただけでなんとなく意味が想像できる「まるっと」。広辞苑に載る日も近いのかもしれません。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2022年01月19日13時17分~抜粋

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