北野誠のズバリ

老化は治すことができる!?夢の薬がついに実現へ

高齢化が進む日本といわれて久しいですが、私たち個人からしてもなるべくなら老化を遅らせ、若さを維持したいという思いは強いのではないでしょうか。

その思いを叶えられるかもしれないという研究が世界で進んでいて、先日、東京大学ではマウス実験から老いの原因になる老化細胞を除去する薬を発見したというニュースが話題になりました。

12月18日放送『北野誠のズバリサタデー』では、『老化は治療できる!』(宝島社新書)の著者で、東京大学医科学研究所教授の中西真先生にお話を伺いました。

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老化の研究はどこまで進んでる?

まずは中西先生に、現在の老化治療に関する研究の状況について伺いました。

中西先生「マウスとかですと、もう老化の治療ができるようになっています。

ヒトでも老化ってこれまでは自然現象というか、治らないものだとみなさん思ってたんですけど、最近の研究から老化もかなり予防し、かつ改善できるのではないかということがわかってきました」

冒頭に、老化細胞を除去することによって老化を減らすという話が出ましたが、そもそもこの老化細胞とは何でしょうか。

中西先生「生きているうちにさまざまなストレスがあり、細胞の中に設計図である遺伝子のDNAというのがあるんですけれども、例えば1番大きなストレスだと、そのDNAにストレスが掛かった結果、細胞が2度と増殖できなくなるんです。

実は周りの細胞に炎症を誘発するような悪い細胞になってしまって、そういう細胞を老化細胞と呼んでいます」
 

ストレス以外でも老化の原因が

ということは、ストレスがなければ老化しにくいということになるのでしょうか。

中西先生「実際にどれぐらいのストレスが加わると老化細胞が生じるのかというのは、よくわかっていないんですけれども、実際にストレスが加わらないようにしていても、われわれは常に外界から放射線や紫外線を浴びたりということが起こってますので、それは非常に大きいんですね。

ですからメンタルのストレスだけではなく、フィジカルなストレスによって、やはり細胞が老化細胞に変わりますので、なかなかそれを防ぐことは難しい」

紫外線のこともあり、今や日光を浴び過ぎるのは良くないという考えは、日本でも浸透してきました。

ビタミンDを作るのに日光を浴びることは必要なのですが、DNAに対して傷を付け、皮膚ガンの原因ともいわれています。
 

老化細胞の唯一のメリット

では、この老化細胞は自然に無くなったりしないのでしょうか。

中西先生「若いうちは免疫によって除かれるといわれてるんですけど、まだ原因はハッキリわかりませんが、歳を取ってくるといろんな臓器や組織に老化細胞が蓄積するということがわかってきています」

そのため、老化細胞を除去する必要があるということですが、逆に老化細胞を作ることを防ぐことはできないのでしょうか。

中西先生「老化細胞にも良い面が1つだけありまして、大きなストレスがかかった細胞が2度と増殖できないような状況にしますので、例えば放射線や紫外線はガンの原因になるんですけれども、ガンを防ぐという意味で老化細胞というのは1つの機能があるといわれています。

ただ、そういうものが貯まることによって老化が促進されますので、老化を防ぐわけではなくて、老化したものを除くというのが治療としては良いのかなというふうに考えています」
 

他の病気にも効果が

また、老化細胞を除去することで、さらに動脈硬化や糖尿病の改善も見られ、予期せぬ効果まで得られたそうです。

アメリカではすでに一部の病気に対する臨床実験が行われていて、人への実現はそう遠くないようです。

そうすると、ついに不老不死の実現かと考えてしまいそうですが……。

中西先生「人間の寿命というのは大きく老化と最大寿命という2つの仕組みで考えられていて、先程の老化細胞の蓄積などは老化現象を制御するものであって、最大寿命には影響を与えないだろうといわれています」

ヒトの最大寿命は120歳とされていますので、それを超えることは非常に難しいですが、健康寿命を伸ばすことには効果が期待されているとのことです。
(岡本)
 
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2021年12月18日09時43分~抜粋

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