わずか数滴の尿でがんを早期発見できる検査手法が、国内外で開発されています。
『北野誠のズバリサタデー』、専門家と電話と繋いで気になるニュースを掘り下げる「ココホレニュース」のコーナー。11月27日放送のテーマは「尿でがんを早期発見」
名古屋大学 未来社会創造機構 特任教授で、河村病院 脳神経外科部長の夏目敦至(なつめ・あつし)先生にお話を伺いました。
尿でがんがわかる!
自宅でできる尿のがん検査を手掛けるベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」は、今月、すい臓がんの早期発見検査を開発したと発表しました。
遺伝子組み換え技術によって、すい臓がんの患者の尿だけに反応する「線虫」の開発に成功し、来年度中にも検査の実用化を目指すとしています。
一方、名古屋大学発の医療ベンチャー「Craif(クライフ)」は、AIを活用し、数滴の尿でがんを早期発見できる検査方法を開発。来年2月から提携医療機関でサービスを開始するとのことです。
「あなたは肺がんかもしれない」
「Craif(クライフ)」が開発したのは、ちぎれて尿中に出てきた短い遺伝子・マイクロRNAを検査するシステム。
マイクロRNAは全部で2,000種類あり、半分以上の機能がまだわかっていません。その数も個人差があり、隠れた病気によって変わってくるといわれているそうです。
1mlの尿で十分な検査ができるため、身体的な負担はなし。その精度は90%という高い数字です。
初期がんの段階でも、「あなたは肺がんかもしれない」というところまでわかるといいます。
「五大がん」の早期発見に
この検査は、来年の2月から健診を行っている病院やクリニックで、ひとつのオプションとして選べるようになります。
現在の対象は、肺がんと卵巣がんのみ。来年中には日本人がかかりやすい五大がん(胃がん、大腸がん、乳がん、肝がん、肺がん)は検査できるようになるそうです。
健康診断は健康保険の適用になりませんが、がんの完治や再発を調べるマーカーとしての利用で保険適用を目指しているとのことです。
「将来的には"ワンコイン健康診断"などに組み込めると、国民の皆さんに喜ばれるサービスになるのかなと思います」と夏目先生。
がん患者の尿にだけ近寄る虫
もうひとつの新しいがん検査「線虫を用いたがん検査」について。これは、線虫の「尿の匂いをかぎわける」という能力を利用した検査です。
身体のどこかにがんがある人は、特有な匂いを出すといわれています。遺伝子操作をされた線虫は、健康な人の尿には近づかず、がん患者の尿だけに近づいていきます。
ただし、身体のどこにがんがあるかはわからないため、詳しい検査が必要となるようです。
「なんとか先生、線虫手に入りませんか?」と懇願する北野誠。「あんまり線虫は知らんのです。ピカチュウは見たことがあるものの…」と笑います。
「線虫は、肉眼では見えない」と聞いて、「えー!」と驚く北野。「自分の尿に線虫を置いたら簡単にわかる」と、安易に考えてしまっていたようです。
のら線虫ではダメ?
夏目先生「線虫も、遺伝子操作された特別な線虫なので」
北野「その辺の、"のら"線虫ではダメなんですね」
夏目先生「池にいるとか、そういう生き物ではないです(笑)」
北野「簡単にできると思ったのになー」
「のら線虫を捕まえて、自分の尿で実験しよう」という北野の算段は、もろくも崩れ去りました。残念。
身体的な負担がなく、高い確率でがんを発見できるこれらの尿検査。今後ますます期待が高まります。
(minto)
北野誠のズバリ
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2021年11月27日09時43分~抜粋