北野誠のズバリ

無免許当て逃げでもなぜ辞職にならない?その理由を弁護士が解説

今年7月、東京都議選の最中に無免許で当て逃げ事故を起こし、書類送検された木下富美子都議。

東京地検は19日、道路交通法違反で在宅起訴しましたが、当て逃げ事故による過失運転致傷や、事故不申告の送検容疑については不起訴処分としました。

都議会は木下都議に対し、2回の辞職勧告決議を全会一致で可決していますが、本人は辞職しない意向を伝えています。

11月20日放送『北野誠のズバリサタデー』では、なぜ木下都議が辞職とならないのかについて、角田龍平弁護士が法律的な観点から解説しました。

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失職させるハードルが高い

無免許当て逃げの事実は当選後に発覚したものですが、都民が「当選させたけど、やっぱり辞めさせたい」と思った場合、どうすれば良いのでしょうか。

1つは地方自治法に基づくリコール、解職や除名が考えられますが、「禁錮以上の刑に処せられた者は失職させられる」と規定されています。

無免許運転は通常、略式起訴で罰金程度で済むケースが多いそうですが、今回は悪質性が
高いと判断され、在宅起訴はされています。

しかし、角田先生は実刑にまでは至らないという見立てで、仮に執行猶予が付く刑だとしても、禁錮以上ではないため失職とはなりません。

また、当て逃げについては、被害者がいる犯罪は示談などで処罰感情がなくなると、起訴猶予にする判断がされやすいそうで、直接の被害者がいない無免許運転での起訴となったようです。

さらに、刑が確定してからでないと処罰できない、リコールは議員になってから1年以上経たないとできないなどの条件があり、今すぐ辞職させるということはできないというわけです。

そして刑が確定し、1年以上経ったとしても、今度は有権者の3分の1以上の署名を集めて都の選挙管理委員会に提出し、住民投票で過半数が賛成しなければならず、かなりハードルが高いことがわかります。
 

リコール以外の方法はあるが…

木下都議に限らず、最近は国会議員などで不祥事が発覚した場合は、辞職で責任を取らずに、「今後の公務活動を邁進したい」とお決まりのセリフを言い、そして任期を満了すると禊が済んだというケースが多くなってきていると、角田先生は指摘します。

角田「いや、ちゃうやろと。この人の場合、そもそもそのことを隠して選挙に出て、信任を得て選ばれてるわけですから」

北野「もし無理に辞めさせたら、訴えられんの?」

角田「地方自治法で定数の3分の2以上が出席した議会で、4分の3以上の同意があれば議決により除名できるっていう規定があるんですが、一般的に議会内の議会運営に対する行為が対象とされてて、議会の発言・言動に問題があった場合が対象とされてるんで。

木下都議の場合は、議場外で事件を起こした人ですから、結局その後の対応で議会に混乱を及ぼしたという言い方はできるかもしれないですけど、ちょっと難しいかなと思うんですね。

もし無理矢理そのような解釈をして、『あなたの対応がおかしいから議会が混乱してるでしょう。だから除名です』ってやった場合、後から訴訟とかされて、場合によっては除名が無効とかいって争われるリスクがあるから、躊躇してるという状況のようなんですね」

結局、現時点では辞めさせることはできないようです。
 

議員の身分が強く守られている理由

今後、同じようなケースが出てきた時は厳しく対処できるように、例えば禁固刑以上ではなく執行猶予が付いても辞職できるようにするなど、法律を変えるのが対応方法の1つです。

ただ、今回の件でいら立つ人が少なからずいると思われ、北野もつい「議員は守られ過ぎ」と批判しましたが…。

角田「議員の身分が保障されているのは、辞職勧告決議とか、法的拘束力がないから今回、2回されても無視されてるわけですけど。

例えば、法的拘束力があるとしてしまうと、多数派の人が『アイツの言ってることはけしからんから、辞めさせよう』ということになってしまうから、身分を保障する制度を設計してる。
この木下都議のような人を守るための制度ではないんですけどね」

議員の方々には、厚く守られるのに値する言動を行なっていただきたいところです。
(岡本)
 
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2021年11月20日09時21分~抜粋

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