北野誠のズバリ

『罪と獏』『人間ひっかく』名作をパロディした「偽本」の魅力に迫る!

『北野誠のズバリサタデー』、話題の本の著者にインタビューする「ズバリこの人に聞きたい」のコーナー。

11月13日放送のテーマは「偽本の魅力」、ゲストは切り絵作家の高木亮さん。

『罪と罰』や『人間失格』などの各国の著名な文学作品名を、『罪と獏』『人間ひっかく』などともじった切り絵と、そのもじりから連想される架空のあらすじをまとめた作品集『きりえや偽本大全 名作文学パロディの世界』の著者です。

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「偽本ブックカバー」の単行本化

『きりえや偽本大全 名作文学パロディの世界』は、高木さんがこれまでに作ってきた「偽本ブックカバー」を単行本化したもの。

元々、切り絵作家として活躍していた高木さん。
猫のポストカードやカレンダーの制作、また猫だらけの切り絵技法書籍『ねこ切り絵』も出版されています。

高木さんが偽本を作るようになったきっかけは、書店で展示の機会があったことでした。

「書店ならば本にちなんだものを」と、100種類の紙のブックカバーを手作りし、展示する企画を考えたそうです。
 

『長靴をかいだ猫』

「始めはまっとうなデザインでやっていたんですけど、100作るとなると自分でも後半飽きてきて」と高木さん。

「自分がおもしろがろう」とネタに走り出した中で生まれたのが、高木さん自ら命名した「偽装書皮」でした。

これは今の「偽本」の原型になるもので、「『どんな本に被せても、うさんくさい本になってしまう』という“ネタ”のつもりでやっていた」とのことです。

最初に思いついた『罪と獏』『長靴をかいだ猫』を100種類の中に紛れこませたところ、「それだけやたらお客さんのウケが良かった」と高木さん。

「自分もやってて楽しかったんで、調子に乗って増やし続けて、今に至る感じになります」と、偽本を作るようになったきっかけについて教えてくれました。
 

ネタは「脳の予測変換」で

最初の頃はパッと浮かんでいた偽本のタイトルですが、数を増やそうと思うとなかなか出て来なくなってしまったという高木さん。

そんな高木さんが編み出したのは、ネタにしたいタイトルを、口の中で何度も何度も繰り替えしつぶやくという方法でした。

「しつこくやってると言葉の意味が飛んで行って、ただ音を言っているだけになるんですね。さらに続けると、人間の脳みそって意味のないことをし続けるのが辛くなってくるのか、『あなたの言っているのはこれじゃないですか?』というように、音が似ている別の言葉がパッと頭に浮かんでくるようになるんですね」

決め手は、原作との落差や、自分でウケるかどうか。

パソコンの予測変換・誤変換のようなこの手法で、数々の名作偽本のタイトルが完成しました。
 

裏表紙の「うそあらすじ」

北野誠のお気に入りは、『母をたずねて三千里』→『母をたずねて三千人』
最も爆笑したのは、『浦島太郎』→『浦島だろう?』

『浦島だろう?』は、竜宮城で遊んでしまい、玉手箱を開けて白髪のおじいちゃんになった浦島に、村人が「お前、浦島だろう?」と尋ねるという物語。

「読んだとき、『すげぇおもしろいわ』と思って」と感心しきりの北野。

これらの偽本の裏表紙の帯部分には、うそのあらすじが載っています。

「元々『もっともらしく見せる』っていうコンセプトだったので。あらすじもそれらしく、後ろに付ける方がいいかなと思って付け始めて」と高木さん。

あらすじを考えるのは、タイトルを決めたあと。

「嘘をついちゃったあとで、自分で言い訳や辻褄合わせを必死こいて考える感じで」とのこと。
 

続編は「映画ネタ」

「コロナ禍で、クスッと寝る前に笑いたいときには、ほんまいい本だと思います。『老人と久美』のあらすじ、『彼女が久美だ』。それなんやねん! という話なんですけど、笑けてしまってね(笑)」と北野。

本業の切り絵ももちろん続けているという高木さん。「そっちがメインのつもりです」と笑います。

『きりえや偽本大全 名作文学パロディの世界』の続編も決定! 続いては「映画ネタ」。こちらも期待が膨らみます。

12月11日(土)12日(日)に金城ふ頭で開催されるクリエイターズマーケットへの出店も決定! 高木さんに会いたい方、高木さんの偽本に興味がある方はぜひ。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2021年11月13日10時31分~抜粋

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