北野誠のズバリ

北野誠とヘビーリスナー川野将一が語る「昭和のラジオとラジオの未来」

『北野誠のズバリサタデー』、話題の本の著者にインタビューする「ズバリこの人に聞きたい」のコーナー。

10月16日の放送ゲストは、『日本懐かしラジオ大全』(タツミムック)の著者で、テレビの放送作家、ラジオのヘビーリスナーの川野将一さん。

若者から絶大な支持を得て、当時の人々に大きな影響力を与えていた昭和の深夜ラジオ番組の魅力、そしてこれからのラジオについて、川野さんと北野誠が語り合いました。

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昭和ラジオの熱狂

昭和の時代、『オールナイトニッポン』『セイ!ヤング』『ヤングタウン』などの深夜放送を中心としたラジオ番組。

川野さんは著書で、そんなラジオ黄金時代に人気を博した、数多くの番組について詳しく解説しています。

「なんでこんな本を出そうと思ったんですか?」と尋ねる北野に、「今もラジオってまたブームになってるっていわれてますけども。今とは違う、昭和のラジオの熱狂っていうのを再確認したかった」と川野さん。

川野さんによると、「昭和のラジオと今のラジオは、別メディア」

ネットが普及した現代、メールやTwitterで成り立っている番組が多いことを考えると、昔のラジオと今のラジオは、全く別のものだといいます。
 

「俺たちの番組はこうなんだ」

北野「特に昭和から平成にかけての深夜番組なんて、多分リスナーさんのことを考えてどうのこうのよりも、自分らがおもしろいことを主張してたと思うねんね」
川野さん「僕も確実にプロパガンダがあったと思います」

北野「ご機嫌うかがいしてないもんね。(ビート)たけしさんもそうやったと思うけど」
川野さん「俺たちの番組はこうなんだ、っていう痛快さはありましたよね」

パーソナリティが自らの主義主張を繰り広げて、リスナーがあれこれ考えるのが昔のラジオだったと意見が一致する2人。
 

ANNのゴールデンイヤー

角田龍平弁護士は、「すごいんですよ、ラジオの録音している音源の量が尋常じゃない。ラジオの全てを知ってらっしゃる」と、川野さんのすごさについて語ります。

そんな川野さんが積極的にラジオを聴くようになったのは1981年。きっかけは、やはり『オールナイトニッポン』でした。

この年は、川野さんいわく「オールナイトニッポンのゴールデンイヤー」

月曜日は中島みゆきさん、火曜日は所ジョージさん、水曜日はタモリさん、木曜日は    ビートたけしさん 金曜日は    吉田拓郎さん、土曜日は笑福亭鶴光さんがパーソナリティを務めていました。

「このラインナップすごいよね(笑)ニッポン放送の全盛期でしょうね」と北野。
 

深夜ラジオの「後ろめたい感」

川野さんは現在50歳。

「ラジオの良さ」について尋ねられ、「ちょっと皮肉がこもっちゃうけど。リスナー目線でいうと、おもしろいのにあまり聞かれていないこと」と川野さん。

「おもしろさを独占した気分になって、聞いた知識やパーソナリティの意見を、そのまま自分のものにできること」が、ラジオの良さ。

まれに「それ昨日、〇〇さんのラジオで言ってたよね」と指摘されたら、逆にその人とは仲良くなれるといいます。

秘密を共有したものどうしの絆が生まれるようです。

「その“後ろめたい感”が、深夜ラジオの良さやったんやな」と納得の北野。
 

ラジオの人は「大体問題起こしてる」

北野は「この本を読んで思ったのは、深夜ラジオでパワーのある人って、大体問題起こしてるな」と、自虐交じりに語ります。

北野「エポックメイキングな事件を起こしてるな、深夜ラジオで」
川野さん「良くも悪くも、それで有名になって、新たなリスナーを増やしてるっていうのもありますよね」

いろいろと事件を起こしてきた自らを振り返りつつも、「諸先輩方も結構な問題を起こしてるのよね。オールナイトニッポンのたけしさんとか、あのねのねさんとかも。今やったら考えられへんラジオをやってるもんね」と北野。
 

ラジオの未来をどう思う?

テレビの放送作家で、ラジオのヘビーリスナーでもある川野さんに、「これからのラジオの未来をどう思います?」と尋ねる北野。

この問いに、川野さんは「テレビが嫌い、インターネットが嫌いっていう人はよくいますけど。これだけ歴史があるのに、ラジオが嫌いっていう人はあまり聞かないなと思ってて。メディアとして貴重な存在」と語ります。

「テレビが一般家庭に普及し始めてからずっと、『ラジオの時代は終わった』と言われ続けていますけど。いい意味でだらだらと続いていくのは、絶対あると思います」

これからもラジオの存在はなくならないと主張する川野さん。
 

「バケモン」は生まれない

北野も「ラジオがなくなることはない」という意見に同意しつつも、「全国的に爆発的に『このラジオすげぇな!』っていうのが深夜放送でもまた出てきてくれないかな」と、ラジオの未来に期待しているよう。

北野のこの意見に、「ラジオはスーパーヒットが生まれにくい」と川野さん。

テレビアニメの『鬼滅の刃』や、映画の『エヴァンゲリオン』のように、時々スーパーヒットが生まれるコンテンツとは異なるといいます。

「ラジオってひとつの番組でおもしろいっていうことは伝わりますけど、それがいわゆる『バケモン』みたいな言われ方をする、スーパーヒットにははなかなか繋がらない」と、そのもどかしさを語る川野さん。
 

もう一度考え直す時代

北野は現在の深夜ラジオ番組について、「巻き込み感がないから、あまりおもしろいと思わない」とバッサリ。

「昔のラジオのイベントは、常に外で事件を起こそうとしてたことがあった。ラジオの前でしゃべったことの空気感だけで満足してるようじゃ、俺はおもしろいと思わない」と訴えます。

radikoを通して、全国でラジオを聴くことができるようになった今だからこそ、「『ムーブメントはどうすれば起こせるんだろう』ということを考える時代が再びきている」と主張する北野。

「コンテンツとしてもう一度考え直す時代がまた来たんやろうな」と、ラジオの未来について真剣に考える北野でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2021年10月16日10時32分~抜粋

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