北野誠のズバリ

超激辛料理で体調不良に…客が納得して食べていても店の責任?

「どんなに辛いものでも食べられる!」と豪語する人がいますが、中には限界を超える激辛料理を出しているお店も。

『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、リスナーから届いた法律に関する疑問や相談に対し、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しています。

6月30日の放送では、激辛料理を食べて具合が悪くなった方に関するケースを取り上げました。

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体調を崩しても自己責任?

今回紹介する相談は、次のとおりです。

「激辛料理が最近流行っていますが、私もその流行に乗った1人です。

たいていの激辛料理は身体に全くこたえませんが、この前、食べる前に『体調を崩しても自己責任です』という同意書を書かされるお店に行きました。

料理を食べて帰宅後、腹痛に見舞われ、翌日の仕事は休みました。

ふと思ったのですが、この書面のサインはどれほどの効果があるのか、気になりました」(Aさん)

実際に具合が悪くなった方がいたために、同意書を書かせているのかもしれませんが、果たしてこの同意書は効力があるのでしょうか。

原先生「同意書を見てサインしているわけですから、お客さんとお店の契約は成立しているということになりますね」
 

知ってて提供してもダメ?

ということは、体調を崩したり仕事を休んだりしても、損害賠償請求はできなさそうですが…。

原先生「基本はできないんですけど、消費者契約法という法律で、一方的不利益の契約は無効になるという契約もあるので、そういう条項が適用される可能性はありますし。

飲食店が予想を超えるような、健康を害するような料理を提供するとは思わないでサインするわけですから、あまりにもすごいものを出していたら、それはやっぱり損害賠償請求という可能性はありますね」

普通の飲食店だと、いちいち同意書を求めることはないですので、危険な物を提供しているという意識はあると言えるかもしれません。

原先生「(一般的な飲食店では)契約上安全な食べ物を出してるという考え方で出しているので、許容範囲、辛くてもここまでというものがありますから、体調を崩すものを出さないという前提ですよね」
 

同意書に意味はあるの?

例えば、「辛さ10倍」と表示されたカレーを売っているお店で、いちいち契約書を交わさないのは、お店があらかじめ安全を保証しているからといえます。

原先生「店が10倍はどれぐらい辛いのか表示して、たぶん誰かが試食して、健康を害さないというのは確認してると思うんですよね。

それだけある程度のことをやって提供しているので、だから許されると。

一番困るのは、調子に乗って辛くして、誰も食べたことがないのを出すと、これは予測不能な状態になっちゃいますから」

もし、損害賠償ができるのであれば、同意書の意味がないように感じられますが……。

原先生「同意書というのは、想定の範囲内のものを排除することができるということと、注意喚起的な意味もあって、そこまでして食べる物なんだと。

覚悟を持たせる予防的効果と、実際にトラブルになった時にやっぱりサインまでしたんだからという過失相殺という考え方があって、損害全部は請求できないということになりますね」

なお、損害賠償請求して認められる可能性があるのは、治療費と通院の交通費、通院したことによる慰謝料、会社を休んだ場合は休業損害などだそうですが、やはり基本的には自己責任となりそうです。
(岡本)
 
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2021年06月30日14時10分~抜粋

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