北野誠のズバリ

お風呂で立ちくらみ! 飲酒後の入浴が危険な理由

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。

5月21日の放送には、缶ビールを飲んでから1時間後にお風呂に入ると、湯舟を出る時に頭がくらくらして倒れてしまいそうになるというリスナーAさん(58歳・男性)から、お風呂に入るタイミングについて相談が寄せられました。

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生がアドバイスを送ります。

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毎年約4千人がお風呂で「溺死」

夕食時、必ず缶ビールをたしなむというAさん。

その後1時間程経ってから40度のお湯に10分浸かり、身体を洗おうと湯舟から出ると、毎回貧血のようなめまいがして、何かにつかまらないと倒れてしまいそうになるといいます。

吉田先生によると、「晩酌の後にお風呂に入るのはとても危険」。

心筋梗塞や脳梗塞になってしまう人、さらに転んで頭を打って脳挫傷になってしまう人も多いそうです。

そして怖いのは、浴槽での溺死。なんと日本では、毎年約4,000人がお風呂で溺れて死亡しているのです。

飲酒後の入浴は、その大きな要因になっているといいます。
 

脳貧血が起きる理由

「浴槽が深くないのに溺れるんですよね?」と尋ねる北野誠に、「お酒を飲んでお風呂に入って眠くなったことはありません?」と吉田先生。

実は北野も経験済み。お風呂で寝てしまいハッと気づいた時に、「これからは酒を飲んで湯舟に浸かるのはやめよう」と思ったそうです。

ただ睡眠状態に入っているだけであれば、溺れかけると目が覚める場合が多いのですが、意識を失いかけている場合は、そのまま死亡してしまうことも。これは、意識を失いかけているのに、自分では「ただ眠いだけ」と感じてしまうことが原因です。

アルコールの利尿作用で全身が脱水症状となり、血液の量は減少。しかし血液の入れ物である血管は入浴で拡張します。結果、相対的に血液の量がかなり不足し、血液が脳に届かず「脳貧血」を起こしてしまうのです。

Aさんの症状も、おそらくこの脳貧血によるものと考えられます。
 

「お風呂で酔いが冷める」は大ウソ!

例えば、温泉旅館などで「酔い覚まし」として、お酒を飲んでから入浴するのも大変危険な行為です。

「お風呂は酔い覚ましの効果は全くないどころか、逆効果で酔いが冷めにくくなる」と吉田先生。

お風呂に入ると、筋肉や皮膚に血液が重点的に送られて汗が出やすくなり、筋肉の疲れは癒されます。その分、アルコールを解毒する肝臓に送られる血液が当然減ってしまうため、酔いが冷めにくくなってしまうというわけです。

吉田先生は「お風呂に入ると酔いが冷めるというのは、200%ウソですね。絶対ダメ」と断言します。
 

飲酒は入浴後がおすすめ

それでは、お酒を飲んだあと、どれだけ時間をあければ入浴しても良いのでしょうか。

吉田先生によると、泥酔した時は、お風呂は翌朝まで禁止。
ほどほどの量の場合は、一般的にはお風呂までに2時間あけるようにと指導されているそうです。

ただこれは「平均的な人なら大丈夫」という意味。

アルコールの代謝や全身への影響は個人差がものすごく大きく、4時間たっても影響が残る人も結構いるため、一概には言えません。

先にお風呂を済ませてからお酒を飲む方が、はるかに安全だということです。
 

お風呂で転ばない工夫

吉田先生いわく、Aさんは「いずれ浴槽から出る時に転んで大けがをする可能性がかなり高い」とのこと。

浴槽から出る瞬間は、全身に水圧が一気にかからなくなる上に、立ち上がるという変化が起こります。この2つの変化に対して、自律神経が対応できていないため、転んでしまうのです。

転んでケガをしないようにするには、浴槽から出たら30秒~3分間しゃがみ、それから立ち上がるという2段階に分けて血圧を慣らすと安全だということです。
 

シャワーも座りながら

「アルコールを飲んだ時は、絶対に軽くシャワーを浴びるだけに決めている」という北野ですが、吉田先生は「シャワーも、できれば座りながら浴びてください」とアドバイス。

飲酒後の入浴やシャワーは、頭の位置を低く保つことが大切です。

脱水症状を起こしている人も多いので、お風呂やシャワーの前に水分をたっぷり補給することも重要なポイント。

アルコールほどではないものの、コーヒーやお茶に含まれているカフェインにも脱水作用があるため、お風呂に入る2時間前から控えるようにすると良いということです。

ついついやってしまいがちな飲酒後の入浴。
思わぬ危険を回避するためにも、やはり「お酒はお風呂の後」がおすすめなようです。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2021年05月21日14時13分~抜粋

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