北野誠のズバリ

わらび粉が入っていない「わらび餅」。法的に問題はないの?

『北野誠のズバリ』、身近な疑問・質問・お悩みを解決する「ズバリ法律相談室」のコーナー。

3月24日の放送では、「わらび粉が入っていない、わらび餅」を購入したリスナーから、「法的に問題があるのでは?」という質問が寄せられました。

オリンピア法律事務所の原武之弁護士が、Aさんの疑問に答えます。

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味がわらび餅であれば、わらび餅

「ここのところ気温が上がってきたので、わらび餅を買いました。何の気なしに成分表を見ると、わらび餅に入っていると思っていた“わらび粉”が入っていませんでした。
わらび餅を名乗っているのに、これは法的に問題ないんですか?」(Aさん)

そもそも食品には、食品表示上のルールがあります。

原弁護士によると「食品表示基準というルールに基づいて、食品の製造者・加工者・販売者が、その記載を順守しているかどうかが問題」。

食品表示基準に「わらび粉が入っていなければ、わらび餅と名乗ってはいけない」と書いてあるわけではないため、わらび粉が入っているかどうかは問題ではないようです。

「じゃあ“自称”わらび餅でいいわけですよね?」という北野誠に、「そういうことですね。まあ、味がわらび餅であれば、わらび餅だろう」と笑う原弁護士。
 

騙されているわけではない

「でも腑には落ちませんよね?」

北野は、なおも道徳的な意見を求めます。

原弁護士は「うーん、まあ確かに腑に落ちないですけど」としつつ、違う観点から話を始めます。

例えば、有名菓子店のわらび餅にわらび粉が入っていないとなると「不正競争防止法」という別の法律の扱いになります。

品質内容の虚偽表示があると「品質をわざとよく見せて高く売った」ことになるため、5年以下の懲役、500万以下の罰金」に。

「まあ、そこまで優良に認識できる状態にまでなってなきゃいけないということですね」と原弁護士。

元々の成分を使わなくても代替できる添加物が多くあるため、「味が一緒であれば優良誤認表示なのかどうかっていうのは、また議論となりますし。消費者も騙されてるわけではないんじゃないか」というのが原弁護士の見解です。
 

牛肉偽装とフレッシュジュースの偽装

日本では以前、食肉偽装事件がありました。

「牛肉100%」と表示した挽肉に、豚肉や鶏肉などを混ぜていた事件です。

これはアレルギーや宗教上の問題としても、あってはならないこと。

「だから大きな問題なんですね。わらび粉が入ってなかったのはちょっと違う」と原弁護士。

同様に、「フレッシュジュース」と表記しながら、非加熱加工のストレートジュースを高い価格で提供していたホテルが問題となったこともあります。

「優良に見せて高く売ったということで、これも下手すると不正競争防止法の虚偽表示と言われてもおかしくない」と原弁護士。

この事件は大きくマスコミに叩かれ、ホテル側が謝罪する流れとなったように、違法の疑いが強いといいます。
 

北海道土産なのに……

「わらび粉の入っていないわらび餅も、まあ200円ぐらいのもんやと思いますけど(笑)。訴えようと思えば訴えられないこともないかな、という感じですよね?」と、改めて原弁護士に確認する北野。

原弁護士は「前提のわらび餅の製造工程にあってないんだから錯誤、無効だと。理屈はできますけど、200円の為に裁判するのかっていう」と笑います。

ここで北野が、よくあるパターンをもうひとつ思いつきます。

「例えばお土産屋さんでお土産を買ったときに、作ってる場所が全然違うことがあるじゃないですか」

北海道土産なのに、製造工場を見ると熊本…

なんだか急に興覚めしてしまうのも事実です。
 

本家と元祖の争いは?

北野「あれは問題ではない?」
原弁護士「あれは表示してますからね」

「北海道で作ったふりをしたら問題ですけど、『北海道銘菓』と書いてあっても、別に『北海道で作りました』とは言ってないので」

ごもっとも。

北野「はー、我々が勝手に思ってるだけなんですね」
原弁護士「そうです、裏を見ればちゃんと書いてありますから」

「じゃあ、もうひとつ」と北野。

「元祖と本家でたまに揉めてますよね(笑)。あれを、どうとらえたらいいんですかね?」

原弁護士いわく、「これは本当に難しくて、もともと普及してたら誰も白黒つけられない」。

あとから元祖や本家を名乗った場合は、タダ乗りをしようとしているため、不正競争防止法に引っかかります。

しかし、大体は元々1つだったものが枝分かれして、元祖と本家で争っているというものです。
 

結局は「おいしさ」

これには「裁判も結構出ているけれど、何百年も前からだと、もう誰も判断できない」と原弁護士。

「逆に、そういうことで注目を集めることもあるので、やってる部分もあるのかなと思いますし。基本は話し合いですね」とのことでした。

「わらび粉が入っていないわらび餅も、納得できない部分はある」と、話題は最初の問題に戻りますが、「結局は値段とおいしさと判断されるものですから」と原弁護士。

北野「なるほどね。わらび粉が入ってなくても」
原弁護士「おいしければ」

要は「この値段でこのおいしさであればいいか」と納得するかどうかの問題だということでした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2021年03月24日14時13分~抜粋

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