北野誠のズバリ

コロナ禍で奨学金が返せない…検討すべき2つの救済制度

大学へ進学する人がかなり多い昨今、奨学金を利用する人も少なくありません。

しかし、コロナ禍が原因で思うように就職ができなかったり、今働いている人でもボーナスが減ったり職を失ったりして、返済が難しくなっているという人が増えてきています。

このような場合、奨学金の返済は待ってもらえるのでしょうか。

2月8日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリマネー相談室」では、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー・伊藤勝啓さんが、奨学金の返済に悩む方に対し、解決策をアドバイスしました。

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奨学金で自己破産のケースも

奨学金というと授業料を肩代わりしてもらうようなイメージがありますが、一般的なローンよりも金利は低いものの、結局はほとんどが借金の一種です。

それでも昔は大学を出ると就職できるケースが多かったため、働いて返すことができたのですが、そもそも就職先が見つからなければ、返すことができません。

場合によっては自己破産に陥るというケースもあり、「大学を卒業すればきちんとした所に就職できるので、お金が返せる。だから奨学金でお金を借りれば良い」といった計画通りにはいかないことも。

そこで伊藤さんは、奨学金に関する運営を行っている独立行政法人の日本学生支援機構(かつての日本育英会などが合併してできた組織)では現在、2種類の救済制度があると説明しました。
 

2つの救済制度

1つ目は「減額返還制度」で、月々の返済額を2分の1、3分の1にまで減らすというもの。

ただし、返済総額が減るわけではありませんので、返済期間が延びることになり、注意が必要です。

また、減額する15年まで延長することはできますが、毎年手続きは必要であることと、所定の審査に通る必要があります。

例えば失業や経済的困難、病気や災害などの理由が必要で、特に経済的な事情を理由に挙げる場合は、給与所得者の場合年収が325万円以下、それ以外の方は所得が225万円以下という条件が付きます。

もう1つは「返済期限猶予制度」で、こちらは返済を一時的に止めることができるというもの。

これだと返済額はゼロになるのですが、止められるのは最長10年で、1年ごとに手続きは必要な上に要審査、給与所得者の場合年収が300万円以下、それ以外の方は所得が200万円以下という条件が付きます。

こちらも返済総額は減りませんので、結局先延ばしということになります。
 

払えないからと放っておくと…

ここで「払えないものは払えない!」と思い、そのまま放っておくのは最も悪い手段のようです。

伊藤さん「奨学金の返済中に一番やってはいけないのが延滞で、キツいからといって返済を放置しておくと、次のような事態が待っています。

例えば、さっきの減額返還制度の審査が受けられなくなりますし、延滞金が発生しますし、本人はもちろん、連帯保証人や保証人に対して文書とか電話で督促が行く。

あと、個人信用情報機関に延滞の情報が登録されるというものがあるんですけど、社会的な経済的信用を失うという形になりますので、クレジットカードの発行ができなくなったり、当然各種ローン(が申し込めない)。

将来、例えば家を買う時に住宅ローンの利用ができないといった事態が考えられますね」

延滞しそうな場合は、事前に相談することによって、これらのデメリットを回避することができます。

最後に伊藤さんは、「借りる時点では本人はまだ社会経験のない学生ですので、やはり家族や周りの大人が奨学金のリスクなどについて教える必要がある」とまとめました。
(岡本)
 
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2021年02月08日14時12分~抜粋

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