北野誠のズバリ

給与のデジタル払いが春から解禁へ…メリット・デメリットは?

日本経済新聞は1月27日、朝刊1面で今春から給与のデジタル払いを政府が解禁すると報じました。

企業は給与を従業員の口座に振り込むだけではなく、いわゆる「○○ペイ」と呼ばれるようなスマートフォン向け決済アプリなどに直接振り込めるようになるとのこと。

これにより従業員にはどんなメリットがあるのでしょうか、逆にデメリットはないのでしょうか。

中京大学経済学部客員教授の内田俊宏先生に、北野誠と大川興業総裁の大川豊が電話でお話を伺いました。

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デジタル決済を浸透させたい政府

賃金の支払いは原則、現金で行うものと法律で決まっていて、唯一の例外が口座振込だったわけですが、例えば簡単に銀行口座を開設できない外国人労働者でも、現金以外の方法で支払いができることになります。

急に降ってわいたように感じる話ですが、実は1年以上前から検討されていたことで、マイナポイント政策のように、政府はデジタル決済を推し進めたいよう。

内田先生によりますと、セキュリティに関する問題解消にある程度メドがついたため、今回、解禁に踏み切るようです。

内田先生「資金の流れがおおむね把握できるというメドが付いたと思いますし、個人情報の保護や資金の安全面について、安全基準を満たした企業だけに限定する。

3月には労基法に基づく省令も改正する方針で、超スマート社会へ移行するという流れは加速すると思いますね」
 

銀行を取り巻く厳しい環境

一方で銀行といえば、先頃コンビニATMの手数料値上げが報じられるなど、経営が厳しくなってきている状況。

さらにデジタル決済による給与支払いが行われるとなると、銀行離れが進む可能性があります。

内田先生「銀行口座を経由しないで給与が振り込まれるウェイトがどんどん高まっていきますので。

今までって、例えば、大学に入った時に仕送りで銀行口座を設定したり、社会人になったら給与口座を作ってたりしていた人が、場合によっては若い人は銀行口座を作らず、そのまま直接電子マネーや給与管理アプリに振り込んでもらうような形になると、銀行から借り入れをしていたような総合的なサービスを受けない人も出てくる可能性があるんですよね」

最近は財布にお金を入れずにスマホだけで買い物をする人も増えてきているので、消費者からすれば、いちいち銀行から電子マネーにお金を移動しなくてすむというメリットがあります。

大川「Apple Payが融資を考えてるっていうことをおっしゃってましたね」

内田先生「ATMの数も支店や行員の数も少なく身軽なので、電子マネーは銀行よりも手数料設定が低くできますし、最終的には(電子マネーは)そこだけの収益では成り立たないので、借入だとか直接やらないにしても、グループ内の他の企業がやるような形になっていくと」
 

ライフスタイルも変わる?

ただ、銀行口座は金額の送金にもよく使われているので、その点では現状の電子マネーでは不便な場合もありますが、内田先生によりますと、夏からは100万円を超える金額送金も考えられているそうです。

とはいえ、普段の生活には現金が必要なケースも出てきます。

今でもアプリから銀行口座へ出金することは可能ですが、将来的には駅の券売機などでも出金することが可能になるのではないかということです。

ここで気を付けなければならないのが、いくらシステムのセキュリティが強化されても、詐欺は防げないということ。

その他には、口座は家族でまとめて持っているケースが多いと思いますが、電子マネーだと基本的に個人のスマホごとの管理。

全額妻のアプリに入金された後、おこづかいを夫のアプリに送金し、さらにどこで何を買ったかも記録されますので、夫の管理が強化できるというメリット(男性側はデメリットかもしれませんが)もあるかもしれません。
(岡本)
 
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2021年01月30日09時21分~抜粋

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