北野誠のズバリ

「片付けられない」は脳のせい?

『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。

12月4日の放送では、「片付けられない夫」に悩むAさんから相談がよせられました。

心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、Aさんにアドバイスを送ります。

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5歳児のような50歳

「主人が何度言っても片付けられない人なんです。爪切りやボールペン、ティッシュなど、使っても元の位置に戻せないのです。注意するとその時は返事をするのですが、その10分後には同じことをします。2人のこどもたちはできます。

我が家では“5歳児のチコタン親父”言われています。どうしたらこの5歳児を大人にできますか?ちなみに夫は50歳です」(Aさん)

吉田先生によると、片付けられない人に多いのは「発達障害」。

あるいは発達障害そのものではなくても、それに似た脳の働き方になっている場合が多いといいます。

発達障害の人は、生まれつき脳の発達が平均的な人と異なっているため、対人関係やコミュニケーションに問題が起きたり、落ち着きがなかったりする場合があります。
 

すぐに忘れてしまう

発達障害の中でも片付けができない人に多いのは、「注意欠陥多動性障害(ADHD)」と「アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)」です。

注意欠陥多動性障害の人は、他のことに気を取られるとすぐに忘れてしまいます。

Aさんの夫は10分経つと片付けることを忘れてしまうので、このタイプに近い可能性が考えられます。

アスペルガーの人はこだわりがものすごく強いため、「適当にバランスよくやる」ということができません。

片付けを始めると自分の思い通り完璧に配置しようとするものの、できるわけもなく挫折して散らかってしまうのがこのタイプ。

他人が見ると床にいろいろな物が散乱しているだけですが、実は本人はその場所がベストだと思っているケースが多いといいます。
 

東大入試問題の秘密

一部症状が重い人に対して薬を使うことはあるものの、脳が生まれつき偏って発達しているため、発達障害を根本的に治すことはできません。

しかし、脳の発達に問題がある方は「できないことも多いものの、できることはものすごくできることが多い」と吉田先生。

自分の好きなことはとことん追求する人が多く、仕事としては研究者や芸術家として成功することが多いといいます。

実はお医者さんや、東大の合格者にも発達障害がすごく多いんだとか!

吉田先生によると、「東大の入試問題は発達障害の脳にピッタリ合ってる」。

早稲田や慶応には落ちたけれど、東大に受かったという人はこのパターンが多いそうです。
 

片付けのルールを決める

かつてあった東大の駒場寮は、建物が丸々ゴミ屋敷。

入寮してから一度も片づけをしない学生がたくさんいたといいます。

「そんな人も今は立派に社会で活躍している」と吉田先生。

無理に治すというよりも、長所を生かす方向で考えるほうがいいということです。

Aさんの夫の場合、「『どうして片付けないの!』と厳しく怒ったりしないでほしい」と吉田先生。

周囲から見るとだらしないだけですが、実際は片付けようと思ってもできない場合が多いのです。

とはいえ、全部代わりに片付けてあげるのは大変。甘やかしすぎるもの本人のためにならなりません。

無理なくできる片付けのルールを家族で決めることが大切だといいます。
 

お年寄りのゴミ屋敷は要注意!

アスペルガーの場合は「自分の部屋は好きなようにさせたほうがいい」と吉田先生。

家族からみたらゴミの山でも、本人にとってはそれが一番しっくりくる環境で、心の安定のためにはそういう空間も必要なんだそう。

ただし、家族共有のスペースは家族の秩序に合わせて片づけをさせるというメリハリを持たせることが効果的だといいます。

一方、年齢とともにゴミ屋敷になっていくのは、脳の発達障害ではなく「脳の老化」。

脳が老化してくると整理整頓をするのが非常に困難になり、捨てるという判断ができなくなります。

いらないものまで貯めこんでしまうので、お年寄りの家庭はゴミ屋敷になってしまうのです。

吉田先生いわく、「捨てるということは人間にとってすごく難しいこと」。

認知症が隠れている場合も多いため、歳をとってからの“片付けられない”は「認知症外来」へいくべきということでした。
(minto)
 
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2020年12月04日14時13分~抜粋

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