北野誠のズバリ

強制参加の忘年会でクラスター発生!法的責任はどこにあるの?

12月に入り、例年なら忘年会シーズンと言われる時期ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で自粛という会社も少なくないものと思われます。

ただ、4月のような緊急事態宣言が出ていた時のような雰囲気でもないため、もし忘年会が行われるとなった場合、行くかどうか迷うという方も多いのではないでしょうか。

12月2日放送『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」コーナーでは、会社の忘年会でクラスターが発生したと仮定した場合の法的責任について、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。

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強制参加だと会社の責任?

今回、番組で取りあげた質問のおたよりは、次のとおりです。

「私の勤めている会社では、毎年忘年会を開いていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、忘年会を開催するかしないか、会社の判断は今のところ保留になっています。

毎年、上司の命令に近い形なので、社員全員が強制参加となります。

今年も同じような流れで忘年会を開いた際、もしクラスターが発生してしまったら、この責任は誰が取るのでしょうか」(Aさん)

原先生「会社は社員の安全・健康を守る義務があるので、予防措置が不十分で開催してクラスターが発生してしまった場合には、賠償責任はあり得ますね」

では、事実上の強制参加ではなく、自由参加の場合はどうなるのでしょうか。

原先生「自由参加という名目を仮にしていたとしても、行かざるを得ないとか、大部分、9割とか出てるとかだと強制参加に近いので、自由参加だからって一言で免れるわけではないですね」

一般的にどれぐらいの人が参加するものなのかはわかりませんが、多くの人が参加するような忘年会だと、会社の責任になるようです。
 

会社はどこまでフォローすべき?

もし、忘年会を部長や上層部などが指示し、部下が企画した忘年会で予防措置が不十分だった場合、企画した人が責任を取るのでしょうか。

原先生「企画した人が『このコロナ禍でやるか?』みたいなすごい企画、相撲大会とか(笑)わざとやったら問題ですけど、基本的にマスク付けましょうとか消毒しましょうとかやって、宴会するだけだったら、企画者が責任を問われることはないですね」

食べる時は無言で、歓談する時は必ずマスク着用といった形になるのでしょうか…。

万が一コロナにかかっても、何週間かして病気前と同じように復帰すれば、まだマシかもしれませんが、もし重症化したり後遺症が残ったりすると大変です。

そうすると、会社は法的責任というよりも社会的責任を負わなければならず、お見舞金を出したり、労災が下りられるように努力しなければいけないそうです。

ただ、今までにない事態のため、実際に会社はどこまで義務を負う必要があるのかは、現時点では明確には決まっていないそうです。

ここでふと湧き出る疑問は、「忘年会というレクリエーションで、労災が下りるのか?」ということ。

原先生「実際に医療従事者は(忘年会ではないですが)仕事として認定されてますし、(忘年会と同一視するのは)語弊があるかもしれませんが会議でも出ますし、その延長線上に忘年会があったとなると、出ない理由はないと」

また、少人数で行うなど、ルールを守った場合でもクラスターが発生した場合は、会社に過失はないとみなされるようです。

今はまだわからないことだらけなので、基本的には患者保護の方へ向かうのではないかと、原先生は推測しました。
(岡本)
 
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2020年12月02日14時12分~抜粋

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