北野誠のズバリ

寒い家が認知症のリスクを増大させる!知っておきたい「室温と健康の関係」

室温と健康についての研究が行われている昨今。WHO世界保健機関は、健康の観点から「冬の室内温度は18度以上に」と勧告しています。

『北野誠のズバリ』、話題の本の著者にインタビューする「ズバリこの人に聞きたい」のコーナー。

11月14日の放送では、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』の著者で、医療や健康を中心に取材しているジャーナリスト、笹井恵里子さんに「室温と健康の関係」についてお話を伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

9割の家が18度以下

笹井さんは著書で、最新のエビデンスを元に「健康を守る家」「健康寿命を延ばす家」についてわかりやすく記しています。

欧米では古くから調査されている「室温と健康の関係」。

日本でも慶応義塾大学の伊香賀俊治教授を中心とした研究チームが、2002年から高知県の山間部にある梼原(ゆすはら)町で、全町民のおよそ3分の1、40代から80代までの住民を対象に調査を行いました。

住民の脳をMRIで調べた結果、温かい家に住む人は寒い家に住む人とくらべて、高血圧症、循環器疾患の発病率、死亡率、LDL(悪玉)コレステロール、心電図の異常所見、骨折の頻度が低いことが判明したのです。

温かい家とは「室温18度以上の家」のこと。

しかし国内の9割以上の家は、冬場はこの室温に達していないことが国土交通省の調査で判明しています。
 

低温で衰える脳

室温は脳にも影響をおよぼします。

寒いと動きが鈍くなり、脳への刺激が減ることもその理由のひとつ。

MRIのデータによると、寒い家に住む人は脳の神経線維の質が衰えている、つまり認知症を発症しやすくなっていると考えられます。
数値としては1度で2歳、5度で10歳脳年齢が衰えるといわれているそうです。

また、室温は頻尿や血圧にも影響します。
就寝前の居間の室温が18度の群を1とすると、12度未満は頻尿の症状が1.6倍多く出ることが判明。

最近、この画期的な研究が国際的な泌尿器の医学誌に掲載されました。
室温と病気の関係が医学的に認められてきています。
 

高血圧のリスク

家の中で倒れる人が多い危険な場所といえば、なんといっても冬場のお風呂。

笹井さんによると、寒さで「ブルブル」と震えるのは、血圧が上がる兆候なんだとか。

末梢の血管が縮まってるため心臓が血液を末梢まで押し出そうとしますが、年齢を重ねるほど血管が硬くなっているので、勢いが強くなりやすいというのです。

これは昨年の国際医学誌でも発表されたデータで、高齢者と女性はその傾向が強いので注意が必要。

普段高血圧ではない人も、室温が10度低い環境では高血圧を発症しやすくなっているということです。
 

「耐えるが美徳」は大間違い!

室温だけではなく、湿度と健康の関係も重視されています。

湿度が40%を下回ると、ウイルスが活性化するだけではなく「仕事のミスが増える」「いびきや中途覚醒が増える」「睡眠の質が悪くなる」といった問題も引き起こすそうです。

感染症対策の観点からも、なるべく湿度50%以上を目指したいところ。

戸建てよりもマンションの方が湿度が低くなりやすいため、湿度をしっかりと保つ必要があるということです。

日本には「寒さに耐えるのが美徳」という我慢の文化がありますが、それは大きな間違い。
学校で寒い校庭で走るよりも、温かい学校内で身体を鍛える取り組みが進学校を中心に増えてきているそうです。

「寒さに耐える、暑さを我慢する」ことに、健康によい科学的な根拠はありません。
健康寿命を長くするため、断熱をして温かい環境で活動することが大切です。

リフォームをしなくても、梱包用のプチプチシートを窓に貼るだけで効果があるため、まずはそこから試してほしいとアドバイスをくれた笹井さんでした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2020年11月14日10時29分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報